南砺市議会 > 2020-03-05 >
03月05日-02号

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  1. 南砺市議会 2020-03-05
    03月05日-02号


    取得元: 南砺市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-15
    令和 2年  3月 定例会(第1回)議事日程(第2号)                  令和2年3月5日(木)午前9時30分 開議日程第1 市政一般に対する質問並びに議案に対する質疑     議案第1号 令和2年度南砺市一般会計予算     議案第2号 令和2年度南砺市バス事業特別会計予算     議案第3号 令和2年度南砺市国民健康保険事業特別会計予算     議案第4号 令和2年度南砺市国民健康保険診療所事業特別会計予算     議案第5号 令和2年度南砺市後期高齢者医療事業特別会計予算     議案第6号 令和2年度南砺市介護事業特別会計予算     議案第7号 令和2年度南砺市訪問看護事業特別会計予算     議案第8号 令和2年度南砺市工業用地造成事業特別会計予算     議案第9号 令和2年度南砺市病院事業会計予算     議案第10号 令和2年度南砺市水道事業会計予算     議案第11号 令和2年度南砺市下水道事業会計予算     議案第12号 令和元年度南砺市一般会計補正予算(第5号)     議案第13号 令和元年度南砺市バス事業特別会計補正予算(第3号)     議案第14号 令和元年度南砺市国民健康保険事業特別会計補正予算(第3号)     議案第15号 令和元年度南砺市国民健康保険診療所事業特別会計補正予算(第3号)     議案第16号 令和元年度南砺市後期高齢者医療事業特別会計補正予算(第1号)     議案第17号 令和元年度南砺市介護事業特別会計補正予算(第4号)     議案第18号 令和元年度南砺市訪問看護事業特別会計補正予算(第2号)     議案第19号 令和元年度南砺市工業用地造成事業特別会計補正予算(第1号)     議案第20号 令和元年度南砺市病院事業会計補正予算(第2号)     議案第21号 令和元年度南砺市水道事業会計補正予算(第2号)     議案第22号 令和元年度南砺市下水道事業会計補正予算(第2号)     議案第23号 南砺市市民センター設置条例の制定について     議案第24号 機構改革に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について     議案第25号 南砺市役所の位置を変更する条例の施行等に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について     議案第26号 地方自治法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について     議案第27号 南砺市利賀ふるさとの森林条例の全部改正について     議案第28号 南砺市上平自然環境活用センター条例の全部改正について     議案第29号 南砺市印鑑条例の一部改正について     議案第30号 南砺市固定資産評価審査委員会条例の一部改正について     議案第31号 南砺市の職員の服務の宣誓に関する条例の一部改正について     議案第32号 南砺市積立基金条例の一部改正について     議案第33号 南砺市体育施設条例の一部改正について     議案第34号 南砺市保育園条例の一部改正について     議案第35号 南砺市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について     議案第36号 南砺市利賀福祉医療センター条例の一部改正について     議案第37号 南砺市利賀活性化施設条例の一部改正について     議案第38号 南砺市温泉施設条例の一部改正について     議案第39号 南砺市道路の構造の技術的基準等を定める条例の一部改正について     議案第40号 南砺市営住宅条例等の一部改正について     議案第41号 南砺市集落排水処理施設条例の一部改正について     議案第42号 南砺市病院事業使用料及び手数料条例の一部改正について     議案第43号 南砺市地域審議会条例の廃止について     議案第44号 南砺市相倉合掌資材庫条例の廃止について     議案第45号 南砺市指定金融機関の指定について     議案第46号 第2次南砺市総合計画の策定について     議案第47号 第2次南砺市教育振興基本計画の策定について     議案第48号 第2期南砺市子ども・子育て支援事業計画の策定について     議案第49号 辺地総合整備計画の策定について     議案第50号 過疎地域自立促進計画の変更について     議案第51号 辺地総合整備計画の変更について     議案第52号 財産の処分について     議案第53号 財産の減額譲渡について     議案第54号 財産の減額譲渡について     議案第55号 財産の減額譲渡について     議案第56号 市道路線の認定について     議案第57号 市道路線の変更について     議案第58号 南砺市デイサービスセンター井口デイサービスセンター)の指定管理者の指定について     承認第1号 専決処分の承認を求めることについて     報告第1号 専決処分の報告について-----------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程に同じ-----------------------------------出席議員(19人)      2番  山田清志議員        3番  中段晴伸議員      4番  川原忠史議員        5番  畠中伸一議員      6番  川口正城議員        7番  石川 弘議員      8番  竹田秀人議員        9番  中島洋三議員     10番  古軸裕一議員       11番  赤池伸彦議員     12番  水口秀治議員       13番  山本勝徳議員     14番  長井久美子議員      15番  榊 祐人議員     16番  蓮沼晃一議員       17番  向川静孝議員     18番  山田 勉議員       19番  才川昌一議員     20番  片岸 博議員欠席議員(1人)      1番  松本誠一議員-----------------------------------説明のため出席した者 市長        田中幹夫     副市長       齊藤宗人 教育長       松本謙一     代表監査委員    山崎昭夫 市長政策部長    上口長博     市長政策部担当部長 柴 雅人 市民協働部長    川森純一     市民協働部担当部長 荒木信人 ブランド戦略部長  芝井 広     ふるさと整備部長  窪田 仁 教育部長      村上紀道     地域包括医療ケア部長                              小森 典 地域包括医療ケア部担当部長      市民協働部次長   市川孝弘           井口一彦 ブランド戦略部次長 此尾治和     地域包括医療ケア部次長                              中家立雄 総務課長      長岡芳典職務のため出席した事務局職員 議会事務局長    武部輝夫     副参事・局長補佐議事調査係長                              岩本真佐美 議事調査係副主幹  山田千佳子----------------------------------- △開議 午前9時30分 △開議の宣告 ○議長(向川静孝議員) ただいまから本日の会議を開きます。 議事日程は、お手元に配付のとおりであります。----------------------------------- △市政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第58号まで、承認第1号及び報告第1号について ○議長(向川静孝議員) 日程第1、市政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第58号まで、承認第1号及び報告第1号の、以上60案件を一括議題といたします。 これより、会派代表による市政一般に対する質問並びに提出議案に対する質疑を行います。 通告がありますので、発言を許可いたします。 16番、蓮沼晃一議員。   〔16番 蓮沼晃一議員登壇〕 ◆16番(蓮沼晃一議員) 皆さん、おはようございます。 それでは、通告に従い、会派自民クラブを代表して、一括質問一括答弁方式にて代表質問を行います。 質問を始める前に、先月16日から19日まで、富山市、南砺市で行われました「とやま・なんと国体2020」が、暖冬、雪不足の中、関係者各位、地域の皆様方のご協力、ご支援で大成功を収められ、全国の選手の皆さんに南砺市の魅力を発信できましたことに深く敬意と感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。 まず最初に、市長の市政運営と新年度予算編成方針についてお伺いをいたします。 政府は昨年、「経済財政運営と改革の基本方針2019-『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦-」を閣議決定し、世界的にも経験したことがない人口減少や少子高齢化の急速な進展への課題克服の鍵となるものが、IoTやAIなどの新技術を活用したSociety5.0の実現であるとし、その実現は、人生100年時代を見据え、生涯現役社会の構築に向けた全世代型社会保障改革次世代型行政サービスを通じた効率と質の高い行財政改革を推進することであるとされました。 そこで、田中市長は、常に時代の最先端に着目をされ、先に述べました新技術Society5.0、そして5Gを視野に入れ、市政運営を行っていかれると思いますが、まず、田中市長が就任以来取り組んでこられ、そしてこれまでの市政運営の総括と、任期が残り1年を切った中で今後どんな施策を重点的に取り組んでいかれるのかをお伺いをいたします。 第2点目として、令和2年度の予算編成についてお伺いをいたします。 当初予算編成においては、歳入に見合った歳出の原則に基づき、行政の永続的な観点から、持続可能な体質の実現が必要だと思われます。 昨年10月からの消費税率引上げも踏まえ、基本方針をお伺いをいたします。 次に、自民クラブ要望事項にもありますが、合併特例債の発行期限終了とともに、地方交付税の一本算定化により歳入の確保が喫緊の課題となる厳しい財政状況の中で、中長期的な財政見通しと財源の確保についての方針をお伺いをいたします。 次に、大きい2点目として、公共施設再編についてであります。 市としての最重要課題は、公共施設再編と人口減少対策であると認識をいたしております。議会としても、これら2つの最重要課題に対して特別委員会を設け、取組方について議論を行っているところであります。 そこで、まず、公共施設再編計画の現在までの進捗率を含めた現状と課題についてお伺いをいたします。 次に、市公共施設再編計画改訂方針検討委員会より本年1月、市長に、令和27年度までに市として保有すべき公共施設の規模等を定めた第2次南砺市公共施設再編計画の提言書が提出され、来年度中の改定に向けた検討が始まっていると思われます。 また、自民クラブからも、「スピード感を持って再編交渉を進め、特に学校施設や文化施設の再編に関しては、長期的な視野に立って慎重に進める」との要望も提出したところであります。 これらを受け、市として、将来世代によりよい南砺市を残すためどう取り組まれるのか、今こそしっかりとした道筋を示していただきたいと思いますが、市長の決意をお伺いをいたします。 次に、3点目として、小規模多機能自治の在り方についてお伺いをいたします。 昨年4月にスタートし、令和2年3月で丸1年が経過しようとしています。 自治振興会、地区社協、公民館が地域づくり協議会として1つの組織となり、連携し合えることで地域課題にも共通認識を持ち、対応しやすくなったことや、サロンBの取組等も増えてきたなど、一歩一歩進んできていると評価をいたしております。 そこで、まず、小規模多機能自治の現状、31地区全地域の浸透状況や進み具合をどのように捉えていらっしゃるのか、また、同じく4月に「支え合い、愛着と誇りのある持続可能なまちづくり」を目指して設立されました中間支援団体、一般社団法人なんと未来支援センターの現況と、今回の予算にも委託業務費が計上されておりますが、小規模多機能自治における今後の果たすべき役割についてもお伺いをいたします。 次に、各地域づくり協議会の役員の方々から、「負担が増えて大変である」というご意見を多く頂いております。一例を挙げますと、「自治振興会単位のときに比べ、行政からの業務が協議会に丸投げされ、役所の下請のような状態である。大事な地域課題に向き合う時間がつくれない」とか、「人員不足で役職の兼任が多くなって、忙し過ぎて休みが取れない」とか、「若者を協議会で見るだけの費用がなくて、人材不足に陥っている」などなど、1年を通しての問題がここに出てきているようであります。 そこで、これらの状況を市としてはどのように捉え、どのように対応されていくのか。 最後はやっぱり人なんです。ぜひ、一生懸命取り組んでいらっしゃるこれら皆さんのためにも、しっかりとした負担軽減策を求めます。 次に、大きな4点目として、少子高齢化と人口減少で衰退したまちなかに活気を取り戻すためにということでありますが、市の商業については、旧町単位の中心市街地における商店街は地盤沈下が顕著で、どこも苦戦を強いられていると思われます。 さらに、追い打ちをかけるように、平成27年には三井アウトレットパーク北陸小矢部イオンモールとなみ、そして昨年のイオンモール高岡やファボーレの大規模増床等が相次ぎ、購買力の流出が目立ち、 人口減少と相まって市内商業は活気をなくしている状態であると思われます。 そういった中、氷見市では、商工会議所、市、商店街連盟などが連携して、専門知識とノウハウを持つ氷見まちなか活性化エリアマネージャーを採用し、少子高齢化と人口減で衰退したまちなか商店街に活気を取り戻すために、それこそ官民一体となってアイデアを出し合い、空き店舗活用など新たな取組が始まっていると聞いています。過日の新聞にも、この報道がなされておりました。 そこで、市内商業の現状を踏まえ、南砺市としての商店街活性化へ向けた取組のお考えをお尋ねをいたします。 次に、南砺市は、世界に誇る自然、文化、歴史、伝統芸能、祭りなど多彩な地域資源がそろっており、世界遺産五箇山の合掌造り集落、ユネスコ無形文化遺産城端曳山祭プロジェクト未来遺産福野夜高祭、日本遺産井波の4つの遺産を有している地域でありながら、現状は、観光客に対し魅力ある地域資源を十分に活用されていない状況だと思われます。 多様化する時代に沿った、それこそまちなかに活気を取り戻すような、南砺市らしい、観光客に求められる観光戦略が必要だと思われますが、市長のお考えをお伺いいたします。 最後、5点目となりますが、今後の公共交通の在り方についてであります。 昨年3月に南砺市地域公共交通網形成計画が策定され、二次交通網の整備も少しずつ進歩が見られておりますが、1年を経過して、現時点での市公共交通網の課題と総合交通体系の中で、より利便性のある方策が必要だと思われますが、市長のお考えをお聞きいたします。 そして次に、本年4月より、茨城県境町において、国内初となる公道においての自律走行バス、すなわち自動運転バスが実用化され、定時・定路線で運行を開始するとの報道発表がありました。 南砺市においては、平成29年11月に、国土交通省による世界遺産相倉合掌造り集落と道の駅などの地域拠点をつなぐこととして、自動運転実証実験が行われましたが、この実験を踏まえて、二次交通を充実させるための自動運転バス等の今後の新交通システム実用化に対するお考えをお聞きいたします。 最後に、本年1月29日、JR西日本より、城端線と氷見線のLRT化に向け検討を始めるとの発表があり、南砺、高岡、氷見、砺波の沿線4市に提案がなされ、富山県も加わり、今春にも具体化に向けた議論が始まるとの報道がありました。 城端線と氷見線の直通化や、万葉線の乗入れによる利便性向上や観光客増加など、期待と希望が膨らむ中、心配されるのは、不採算路線を切り離したいという思惑がうかがえることや、沿線自治体へ整備・運営に伴う多額の負担が求められるのではないのかなどであります。 しかし、市としてもLRT化による様々な可能性を探っていただきたいし、まちづくりの中の新しい位置づけをしていただきたいと思いますので、市長の見解をお伺いをいたします。 最後になりますが、今日から2日間、県立高校の一般入試が始まります。コロナウイルスの脅威の中、明日の南砺を託す中学生たちが希望に向かってチャレンジをしております。 一般質問も今日から2日間の日程で、それぞれ議論が始まるわけでありますので、市長からの明日の南砺に希望を持てるご答弁をご期待して、代表質問を終わります。 ○議長(向川静孝議員) 答弁を求めます。 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 自民クラブ、蓮沼議員の代表質問にお答えをいたします。 平成20年の就任以来、市民目線の市民が主体のまちづくり、そして市民が南砺市に生まれてきて良かった、住んでいて良かった、これからも住み続けたいと思えるまちづくりを全身全霊で進めてまいりました。 特に、町村合併の最大の利点である合併特例債等を有効に活用し、市民が安全・安心な生活ができるよう、市道整備事業や保育園の統合整備事業、小・中学校大規模修繕事業、特別養護老人ホーム等改修事業を中心とした大型建設事業や大規模改修事業などを計画的に進めてまいりました。 また、計画的な地方債の繰上償還の実施により、実質公債費比率が3.7%へと、合併当初より大幅に改善となっていることや、現時点の将来負担比率もゼロであることなどから、健全な財政運営に努めてきた結果であるものと考えております。 加えて、住民主体のまちづくりという観点から、新たな自治組織である小規模多機能自治による地域づくり協議会の発足、保健・介護・医療・福祉が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築、地域資源の循環と地域の自立を目指す取組の輪を広げ、未来を担う子供たちが安心して地域に誇りを持って暮らし続けていくためのエコビレッジ構想の策定などに取り組んできました。 その結果として、SDGs未来都市への選定やユネスコ無形文化遺産への登録、日本遺産への認定などにも結びつき、まさに国内外へ誇れる南砺市となったものと実感しております。 これまで、南砺市らしさを醸成すべく各種施策に積極的に取り組んできましたが、市民への説明を積み重ね、市民への理解が深まり、協力を頂くことで着実に進めることができたものと思っており、引き続き、現状に甘えることなく、市民の皆様が喜んで、そして進んで参画いただける市政の確立に向けて、取り組んでまいりたいと考えております。 特に、令和2年度におきましては、第2次南砺市総合計画がスタートする年であります。南砺市の新たなステージとして、市民と行政が一体となって、市民の皆さんが誇れるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。 第2次南砺市総合計画のまちづくりビジョンの中で示しておりますが、「未来に希望がもてるまち」「多様な幸せを実感できるまち」「心豊かな暮らしができるまち」「皆で考えともに行動するまち」の4つの目指すべきまちの姿に向けて、これまで重点的に取り組んできました妊娠・出産・子育て支援、移住・定住支援、農業・商工業・伝統工芸等各種担い手の育成、教育改革としての義務教育学校の推進等を中心に、本市の最大の課題である人口減少対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 令和2年度は、これまでの市政運営をしっかりと継続しながらも、第2次南砺市総合計画に基づき、新たな市政を運営していく第一歩となる年度に当たります。 このような中、特に普通交付税の段階的縮小の経過措置終了に伴い一本査定となること、有利な財源であった合併特例債が令和元年度で発行限度額に達すること、南砺幸せなまちづくり総合戦略が終了することなどから、自主財源の確保は当然のことながら、国のあらゆる制度に目を向け、これまで以上に国・県等の各種補助制度や有利な地方債の活用を含め、あらゆる財源の確保を徹底的に行い、予算編成につなげるよう指示をしてきたところであります。 歳入面につきましては、市税において、人口減少に伴う労働人口等の減少の予測から、大きな増額は見込めないものの、地方法人課税における偏在是正措置により、法人事業税交付金が令和2年度から新設されることや、地方消費税交付金に幼児教育・保育の無償化に係る財源分の増加が見込まれます。 また、普通交付税については、一本算定によりある程度の減額があるものの、令和2年度より、市町村が地域社会の維持・再生に向けた幅広い施策に自主的・主体的に取り組むため、新たに地域社会再生事業費が創設されることから、増額を見込んでおります。 また、歳出面では、令和元年度にSDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業に選定され、2015年9月の国連サミットで採択された国際社会全体の持続可能な開発目標に基づき、「誰ひとり取り残さない」社会の実現を目指し、これまでの戦略事業を中心とした各種施策の効果検証のもと、事業の精査及び統廃合を積極的に行い、南砺幸せなまちづくり総合戦略エコビレッジ構想等により取組を進めてきた各種施策がスムーズに第2次南砺市総合計画につながるよう配慮したところでございます。 この第2次南砺市総合計画では、将来像のキャッチフレーズを「誰ひとり取り残さない 誰もが笑顔で暮らし続けられるまちへ」と定めるとともに、4つの目指すべきまちの姿を示し、その将来像の達成に向け実施すべきこととして、11の政策、35の具体的な施策を掲げ、計画初年度となる令和2年度には90事業、当初予算額で約12億7,900万円を計上しております。 また、公共施設再編につきましても、引き続き全庁的に取り組み、確実に進めていくよう指示をするとともに、懸案であった庁舎統合整備並びに庁舎機能再編の効果がしっかりと表せるよう、コスト部分だけでなく、市民の皆様にとってより満足感が高く、効果的な統合・再編であったと実感いただけるよう、職員一丸となって窓口業務はもとより、各種施策に取り組むこととしております。 今後の財政の見通しといたしましては、平成30年度の財政指標の実績として、実質公債費比率は3.7%と県内で最もよい数値であり、将来負担比率もゼロであることから、現時点では本市の財政状況は健全であり、今後、急速に悪化していくことは想定していませんが、これらの指標を注視しながら、引き続き健全な財政運営に努めていきたいと考えております。 その上で、令和2年度実施の国勢調査による人口が令和3年度から反映される普通交付税が最大のポイントだと考えております。 先ほどのご質問にもお答えいたしましたが、普通交付税算定において、国の施策により、地域社会再生事業費などの新たな算出項目により増額部分も見込めるものの、人口減少に伴う影響額は大きいものと考えております。 令和3年度がその1段階であり、現時点の試算では、対前年度比5億円の減となる115億円程度を見込んでおり、さらに5年後の令和8年度には、令和7年度実施予定の国勢調査による人口が反映されますので、今後は段階的に減少していくものと見込んでいることから、今後10年間は厳しい財政状況が続くものと考えております。 この厳しい財政状況の中で、今後の財政運営に多大な影響を及ぼす基金残高については、財政調整基金や減債基金は、現時点で平成29年の総務省の基金の積立状況等に関する調査結果から、類似団体との比較においても特段の問題はないと考えております。 しかしながら、今後の財源確保について、先ほど申し上げました人口減少に伴う普通交付税の減少見込みや、市税においては景気の回復基調が緩やかな状況下とはいえ、やはり人口減少等の影響により大きな増加が見込めないことから、歳入一般財源だけでなく、特定財源の確保が最大の課題であると考えております。 特に、庁内横断的な施策の取組を検討し、国の地方創生推進交付金をはじめとした有利な財源を確保できるよう、しっかりと取り組んでいかなければなりません。 一方で、歳出については、会計年度任用職員制度の運用に伴い人件費が増額すること、子育て支援や障害者自立支援などの扶助費の増加や、これまで大型建設事業の財源として発行してきた合併特例債の償還が年々増加することから、市債の償還ピークが令和4年度に迎えることなど、義務的経費の増加が見込まれます。 こういった状況に鑑み、厳しい財政状況に対応すべく財源として、財政調整基金や減債基金だけでなく、各種特定目的基金についても、決算剰余金などから、積立てできるときに計画的に積立てを行い、持続可能な市政運営、健全な財政運営につなげていくための財源として確保していきたいと考えております。 次に、第2次南砺市公共施設再編計画の現状と課題についてお答えをいたします。 まず、計画短期における縮減目標面積9万6,808平方メートルに対する本年2月末現在の進捗は、譲渡した施設が40施設1万3,976平米、解体した施設が23施設で1万2,667平米、合わせて63施設2万6,643平米、達成率にして27.5%となっており、現状では昨年12月末時点からは変動はありません。 しかしながら、今定例会で上程している減額譲渡及び施設譲渡に関わる改正条例の議案についてお認めをいただければ、その進捗は本年4月1日時点で4施設2,710平米が譲渡完了となり、達成率は30.3%になる見込みであります。 課題については、幾つかの施設について問合せを頂いていますが、譲渡後の維持管理や解体経費に対する負担があると考えられ、譲渡に結びつかないのが現状です。ただ、ご承知のとおり、桜ヶ池クライミングセンターの譲渡においては、高所作業のできる人材の確保につなげるために取得いただくなど、施設を有効活用してもらえる事例も出ており、引き続き粘り強く交渉を進めるとともに、民間事業者からの利活用提案の機運が高まるよう周知に努めていきます。 次に、公共施設再編の将来への道筋についてお答えをいたします。 第2次南砺市公共施設再編計画の見直し作業につきましては、昨年9月に外部委員による南砺市公共施設再編計画改訂方針検討委員会を立ち上げ、令和27年度に保有すべき公共施設の機能と施設数について、その方針の素案をまとめるため5回にわたり協議いただき、その結果を本年1月30日に提言として提出いただきました。 提言では、公共施設の耐用年数や施設から数値で得られる情報、国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来人口推計、財政シミュレーション等を踏まえ、昨年3月末で保有している407施設を令和27年度までに162施設に縮減すべきとの内容になっています。 そして、今後、市で原案を作成する際には、施設で提供する行政サービスの地域への貢献度や目指すべき施策、地域の実情等に配慮し、将来世代の子供たちに、よりよい南砺市を残すよう申し添えられました。 このことを踏まえ、市では4回の行政改革推進本部会議を開催し、将来人口や施設の耐用年数を基に、機能の集約化と複合化を図ることや、民間が提供できる施設サービスは民間活力を活用することを原則として、将来の南砺市における公共施設の保有数について検討を重ねてきました。 議員から質問された教育・文化施設における基本的な考え方について、今後も住民がそれぞれの地域に住み続けたいという希望が持てるよう、学校は現在の全ての中学校区に義務教育学校を維持し、文化センターは、児童館や図書館の機能等を集約した4施設を維持すべきと考えるなど、教育や子育てを含めて、地域の人々が集う拠点施設としていきたいと考えております。 また、教育分野以外の施設については、保有優先度が高いと判断した施設は、利用規模に見合うよう集約化を図りながら機能を維持し、優先度が低いと判断した施設は民間活用を進めるなど、できるだけ地域への影響が少なくなるよう配慮しながら、保有する施設を最小限といたしました。 なお、保有する施設の多くは大規模な改修を行わず、可能な限り使用することとしていますが、利用者の安心・安全に重大な影響を及ぼすと予想される場合は、直ちに休止するものとし、その基準については次年度に検討したいと考えております。 これらの考えにより作成した原案では、令和27年度保有数は206施設、約24万6,000平米となり、30年間で5億円、1年当たり1,000万円程度の黒字となる財政シミュレーションとなりました。大規模改修を行わないとする前提に立っての推計ですが、引き続き行財政改革に努め、持続可能なまちづくりを進めていきます。 今後、市民の皆様に向けて説明会を開催し、再編計画の見直しの概要はもちろんのこと、南砺市の現状や次年度の取組についても周知、理解が深まるよう努めてまいります。 次に、小規模多機能自治の現状と、なんと未来支援センターの役割についてお答えをいたします。 昨年の4月から、新たな住民自治の手法を用いた小規模多機能自治が28地区でスタートし、現在、残る3地区が、今年の4月からの移行に向けて準備が進められております。 また、議員ご指摘の通所型サービスB事業については、昨年度まで2か所のみと足踏み状態でしたが、小規模多機能自治がスタートしてからは6か所に増えており、今後、さらに2か所程度増える見込みと伺っております。 小規模多機能自治の現状としては、まだスタートしたばかりであることから、地域住民への浸透状況については十分とは言えません。 また、地域間の格差は否めないものの、組織を一本化し、常勤職員を雇用していることにより、これまでの地域活動ではできなかった文化祭と敬老会を一緒に行うなどの行事の棚卸し、会議・行事での女性や若者の参加など、新たな取組も少しずつ始まっており、地域住民の意識の向上を実感しているところであります。 さらに、地域住民への浸透を図るための事業として、一般社団法人なんと未来支援センターに業務を委託し、31の各地域づくり協議会のホームページ開設支援を行っており、3月中旬には公開予定です。これまでの公民館だよりなどの紙ベースの広報紙では、世帯の代表者や高齢者しか目にしないことから、これからの地域を担う若者をターゲットとして、今後、SNSを活用した情報発信に努めていただきたいと考えております。 また、今年度から、防災や福祉、教育をテーマとした地域円卓会議を開催しています。参加者自らが考える姿勢の発信が多くあり、地域課題を自分ごととして考える意識が少しずつ定着し始めたと感じているところです。 一方、昨年4月に設立をしましたなんと未来支援センターの活動としては、4月には会計や労務セミナーの開催、5月と9月には事務局長向けの情報交換会の開催、1月と2月には先進地から講師を招いての住民自治創生セミナーの開催、また、6月から7月及び11月から1月にかけて計2回の協議会訪問を行っていただき、地域の現状や課題を聞き取り、解決への取組を行っています。 ほかにも、年3回の地域円卓会議や各地域取り組み発表会などの開催を通じて、事務局員のスキルアップや他地区の取組などを共有する機会を提供しているところであります。 なんと未来支援センターの役割としては、組織が持つネットワークや蓄積されたノウハウを生かし、引き続き地域と行政の間に立って、それぞれの活動支援をきめ細やかに行うことを期待しております。 また、6月に上程予定の南砺市まちづくり基本条例改定の中で、なんと未来支援センターが担う中間支援組織としての位置づけを明確にする予定としております。 次に、地域づくり協議会の負担軽減策についてお答えをいたします。 各地域づくり協議会の事務局に聞き取りを行ったところ、議員ご指摘のとおり、事務局の業務が多忙であると感じている協議会が28地区中14地区ありました。理由は様々でありますが、これまでの公民館指導員がそのまま事務局員になっている箇所が22か所あり、これまでの自治振興会、公民館、地区社協で個別に行ってきた業務を1つの事務局で行うことになったため、そう感じることが多くなったのではないかなと思っております。 市では、小規模多機能自治を始めるに当たり、事務局機能の強化が必要であることから、これまでの公民館指導員への半日1名の体制から2名程度の常勤職員を雇用していただけるよう、人員面では増強して支援しております。 しかしながら、中には1人の職員に仕事が偏りがちな事務局や、仕事の分担がうまくできていないなど、事務局内部の課題・問題も見受けられることから、市といたしましても、適正な運用となるよう、今後指導させていただきたいと、このように考えております。 また、地域では組織を一本化しているにもかかわらず、「行政の窓口がばらばらで活動が行いにくい」といったご指摘も頂いております。 通常業務に追われることで、本来の目的である地域課題の解消につながる取組を行う余裕がないというのは、現在の大きな課題と認識しておりますので、他部署とも連携をし、各協議会の負担軽減に努めたいと考えております。 具体的には、これまでばらばらであった市防犯協会と市安全なまちづくり推進センターなどの事務局を南砺警察署内の市防犯協会事務局に一本化をし、防犯に関する問合せ窓口を統合しました。 少しずつではありますが、地域からの要望に応えていきたいと考えております。 また、事務局員向け人材育成セミナーなども引き続き開催し、労働環境の改善につながるよう努めたいと考えております。 次に、商店街の活性化へ向けた取組についてお答えをいたします。 市内商業の状況につきましては、平成28年の経済センサス活動調査によると、小売業の事業所数が610で、前回調査の平成24年に比較して56事業所が減少しております。 また、事業所の皆様からは、経営上の問題点として、「大型店の進出等による競争激化」「購買力の市外への流失」「消費者ニーズの変化」などをお聞きしており、市内商業の現状は大変厳しい状況にあり、特に商店街の活性化は、活気あるまちづくりに欠かせない要素だと考えております。 そういった中、商店街空き店舗対策支援事業補助金を活用して整備された井波のゲストハウスは、そこだけで完結しないで、街全体を1つのホテルと見立て、魅力あるまちなかを回遊させる取組をされております。 城端のまちなかでは、老舗の和菓子屋の道具類や菓子の木型のコレクションを見学する「まちあるきツアー」を市観光協会が実施されております。 また、福光のまちなかでは、起業家育成支援事業補助金を活用して開業されましたジェラートのお店や、昨年度民間に譲渡しました市街中にぎわい弐号館に入居されていた飲食店等において、市内外から多くのお客様に訪れていただき、まちなかを散策していただいております。 このことは、まちなかに人を呼びこみ、お店の商品を買ってもらうことで、にぎわいを創出していく狙いから行われているものであります。まちなかに人を呼び込むためには、訪れる方にとって、そこに行く理由が必要であり、その理由を作り出していかなくてはなりません。その理由の一つとなるのが、魅力ある個別店舗だと考えております。 市では、第2次総合計画のやるべき施策として、「買ってみたい」「行ってみたい」と思わせる魅力あるお店づくりを掲げ、支援していくことによって、域外から人を呼び込んでいく。そして、そのお店がまた次の店を生み出していくような、勢いのある商店街となるよう、事業者の皆様とビジョンを共有して、共に行動し、地域全体で南砺の活気あるまちづくりに取り組んでいきたいと考えております。 次に、まちなかの活気を取り戻す観光戦略についてお答えをします。 国内人口が減少する中で、国を挙げてインバウンド観光が進められ、昨今の観光庁の推計資料では、2019年の訪日外国人旅行者数は3,188 万人となり、2年連続で3,000万人を突破しております。 議員ご指摘のとおり、南砺市には多彩な観光資源が存在することから、観光周遊において南砺を選んでもらえる情報発信を継続・充実することをはじめとして、二次交通の利便性を向上し、市内への流動を喚起することが重要と考えております。 また、市内でもここ数年、「まちやど」と呼ばれ、小規模宿泊施設をまちなかに複数配置し、宿泊者の飲食、文化体験により、観光地に活気を与える取組が注目を集めております。 このような事業者やグループの自主性、積極的な取組について大きな期待を寄せるとともに、市といたしましても、北陸新幹線の大阪延伸を見据えた、「まちやど」を生かしたまち歩きの推進が、まちなかの活性化に効果的であると考えております。 具体的には、円滑なまち歩きに必要な案内看板、標識の多言語化整備、ITを活用した案内機能の充実などに取り組みたいと考えております。 また、ソフトの面では、市観光協会や事業者の皆様と連携をしながら、南砺市ならではの伝統文化や歴史を生かした体験型メニューを織り込んだ、まち歩き観光を戦略的に進めていきます。 南砺市らしい進めといたしましては、地域の歴史や文化の独自性を再発見、再認識し、私たち自身がそれに誇りを持つことも大切であり、そのことが南砺市の価値を高めることにつながると思います。 市民の皆様の気づき、小さな自慢話や様々なご意見などをまち歩きに取り入れつつ、また、地域の観光資源をつなぐ、まちぐるみのおもてなしを生かした観光振興を図りたいと考えております。 次に、現在の公共交通網の課題と利便性のある交通網への方策についてお答えをいたします。 市営バスは、JRや基幹バスへの接続等を最優先に、通勤通学や通院などの利用目的に応じて、より利便性が高まるよう、引き続きダイヤやルートの見直し、バス停の新設、デマンド運行など所要の改善を実施するほか、統合庁舎へのアクセス性の向上をはじめ、主要拠点間における目標便数の確保など、平成30年度に策定しました南砺市地域公共交通網形成計画で定めた内容を着実に実施していきたいと考えております。 一方、75歳以上人口の増加や核家族化の進行により、家族に送迎を頼むことができず、また、バス停まで徒歩での移動が困難な高齢者の方が増えている状況にあることから、既存の公共交通の利用に不便を感じている方への対応が大きな課題になっていると考えております。 この点に関し、同計画では、基幹路線と市営バスではカバーできない交通ニーズに対応する新たなシステムを検討し、必要に応じて実証実験を行うこととしているところであり、令和2年度以降、地域住民の皆様と交通事業者、行政が三位一体となって、地域における交通手段をどのように維持・確保していけばよいか、実証実験も含めまして、知恵を絞っていきたいと考えております。 いずれにいたしましても、本市にお住まいの方が通院や買物、通勤や通学などの交通手段を心配することなく、これからも安心して住み続けることができ、南砺市に住んでよかったと実感していただけるよう、公共交通事業にしっかり取り組んでいくことが重要と考えております。 次に、自動運転バス等の今後の新交通システム実用化に対する考え方についてお答えをいたします。 現時点において、市営バス等に自動運転技術を導入する場合には、緊急時に対応するための運転手の同乗や遠隔監視室及び監視オペレーターが必要となるほか、自動運転システムを搭載した車両の導入、維持費用がかなり高額であるといった課題があることから、当面、市営バス等に自動運転技術を導入することは、国などからの財政的な支援がない限り、市単独では困難であると考えております。 しかしながら、自動運転技術につきましては、国内外の自動車メーカーをはじめソフトウエア会社など異業種からの参入も相次いでおり、各地で実証運行が実施されるなど、急速にその技術が進展している状況です。 そのような中、今後は、市営バス等の運転手不足がさらに深刻化することが見込まれるところであり、自動運転技術の早期の実用化が望まれるところであります。 なお、平成29年に平地域で実施された自動運転実証実験は、国土交通省が事業主体となり実証実験を行ったものであります。 本市は、あくまでも実証実験実施のための場所の提供に協力をさせていただいたものですが、車両導入及びその維持管理に多額の経費を要するほか、山間地であり、しかも積雪の多い地理的条件下では、安全走行に多くの課題があるなど、その実用化には多くの課題整理が必要であると認識したところであります。 しかしながら、自動運転技術は、人口減少が続く中山間地域にとって、公共交通の抱える様々な課題解決に資するものであることから、南砺市といたしましても、自動運転技術の早期実用化に向け、他の先行事例も含めまして、引き続き自動運転技術の調査研究を行っていきたいと考えております。 最後に、JR城端線・氷見線のLRT化についてお答えをいたします。 さきの報道発表のとおり、安全で持続可能な鉄道・交通サービスの実現に向けて、JR城端線・氷見線のLRT化など新しい交通体系の検討を進めることについてJR西日本から提案があり、沿線4市及び富山県では、今春から検討を開始することとしております。 今回の提案は、同路線を今後とも持続可能なものにしていくための前向きな内容であったことは大いに評価できるものであると同時に、沿線市における今後のまちづくりにも大きく影響がある事案であると考えております。 先進事例として、2006年に開業した富山ライトレールがありますが、ここでは新車両の導入や駅のバリアフリー化、運行本数の増加、新駅整備など利便性向上が実現しており、JR城端線・氷見線につきましても、LRT化によって同様の利便性向上が期待されているところであります。 しかしながら、議員ご指摘のとおり、新たに電化や車両購入が必要になるなど、事業に係る整備費が多額になることに加え、事業後の維持管理費の負担も大きなものになることが予想されるほか、運営主体についても全く白紙の状態であることから、同路線のLRT化につきましては、その実現可能性も含めて慎重に検討していかなければなりません。 いずれにいたしましても、JR城端線・氷見線は、高校生やサラリーマンの通学通勤の利用を中心とした生活路線としてのみならず、観光利用に関してもなくてはならない重要な交通機関であり、呉西地域、ひいては県全体の発展にも寄与する内容であることから、持続可能な公共交通の在り方について、関係者間で十分議論をする必要があると考えております。 ○議長(向川静孝議員) 以上で会派代表による市政一般に対する質問並びに提出議案に対する質疑を終わります。 暫時休憩をいたします。 午前10時30分から会議を再開いたします。 △休憩 午前10時19分------------- △再開 午前10時30分 ○議長(向川静孝議員) 会議を再開いたします。 これより、各議員による市政一般に対する質問並びに提出議案に対する質疑を行います。 質問時間は、答弁を含めて、一問一答方式による場合は1人45分以内といたします。 通告がありますので、順次発言を許可いたします。 2番、山田清志議員。   〔2番 山田清志議員登壇〕 ◆2番(山田清志議員) 自民クラブの山田清志でございます。 今定例会は、向こう10年の市の目指すべき姿を指し示す第2次南砺市総合計画が提出されており、改めて、南砺市の抱える課題は何なのか、これまでの行政運営はどうであったか、これから進めるべき施策には何が必要であるのか、合併から15年が過ぎ、一度立ち止まって議論を行う大切な機会であります。 今回は、12月定例会でも取り上げさせていただいた、少子化がもたらす学校の在り方と、なかなか有効な手だてが見いだせない農業の課題について、一問一答にて個別質問させていただきます。 まず、小・中学校の在り方であります。 先日、提言がなされました市公共施設再編計画改訂方針検討委員会では、小・中学校の数は児童・生徒の減少に合わせ、徐々に統合させていくべきとの意見でありました。 それに対し市の考えは、子供の人数の減少が続いても、学校は地域振興の観点からも必要なものであり、小・中学校が1つの校舎に入ることはあっても、8地域全てに学校は維持していくとのことであります。 減少が懸念される児童・生徒の人数について、市はどう予測しているのか。 そこで、まずは、子供たちの人口の推移についてお尋ねいたします。 市は、5年前に策定した人口ビジョンにおいて、2060年(令和42年)の人口目標を3万人と掲げました。これは、国の社会保障・人口問題研究所が試算する2万2,588人を約7,500人上回るもので、その達成に向け、合計特殊出生率の向上と社会動態の改善を施策に置き換え、推進していくとの計画であります。 しかし、なかなか目標人口のラインには届いておりません。 そのような中、今回の第2次総合計画では年間の出生数の目標を、ほぼ現在と変わらぬ250人としております。これは、国が試算する2060年の出生者111人の2倍以上の数字であり、250人の維持に向けては、現在の合計特殊出生率1.47から2.07へとV字回復させることが条件となってまいります。 市の目指す8地域全てに学校を残す考え方は、この、国の予測の2倍以上の子供たちが生まれてくる状況を土台に示されているのでありましょう。 市の出生数に対する並々ならぬ意気込みは心強いと評価しておりますが、一方で、議会への答弁では、人口対策は施策を推進しても、なかなか結果に結びつけるのは難しいとの見解も示されております。 今回、市の人口目標の対比率をはるかに上回る2倍以上の出生数、その達成に向けてのV字回復することとなる出生率に対する自信は、今回の総合計画、新年度予算の、特にどの部分で表れているのか。 これまでの5年間で34億円の予算を投入しても、なかなか下げ止まらなかった人口、とりわけ出生者数の減少、それがこの辺りで止まるという根拠は何なのか、見解をお聞かせください。 ○議長(向川静孝議員) 答弁を求めます。 柴市長政策部担当部長。   〔柴 雅人市長政策部担当部長登壇〕 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) まず、現行の人口ビジョンにおける令和元年10月時点の推計人口は、昨年11月の見込値では、目標値より624人下回っているとご報告しているところでございますけれども、その後、富山県公表の数値との精査を行った結果、その差は615人下回ったことになっております。 その要因といたしましては、特にゼロ歳から4歳、20歳から30歳代の人口が、当初の目標値より大きく下回っていることが挙げられるところでございます。 その一方で、平成27年度以降、総合戦略に取り組んだ4年間では、子育て世代を中心に760人を超える移住があったことや、婚活支援や不妊治療助成により180人を超える出生があったことは、これまでもご説明してきたところでございます。 人口ビジョンにおける目標値の達成には、高いハードルを乗り越えなければならない困難さがあることに間違いはございませんけれども、少なくとも総合戦略の取組によって、今ほど申し上げました940人以上の人口増に結びついたことは、大きな成果であると考えております。 次に、国や富山県の人口ビジョンでは、結婚して子供を産み育てたいと思う人の希望がかなった場合、持ちたい子供の数を表す希望出生率を用いておりますけれども、国では国民の希望出生率1.8を、富山県では県民の希望出生率1.9を2030年に達成し、さらに2040年には現状の人口を維持した場合の数値、これを人口置換水準といいますけれども、これを2.07ということで達成することとしております。 一方、本市では、子育ての中心世代である18歳から40歳までの方が最終的に持ちたいと思う子供の数は、平均で2.2人という結果を市民アンケート調査から得ており、また、自分たちの希望がかなった場合には理想とする子供の数は、平均で2.7人となっております。 国や富山県とはその算出方法が異なりますので、単純に比較することはできませんけれども、一生涯で持ちたい子供の数は、国や県で算出した希望出生率よりも本市の方が高くなっていますので、第2次南砺市総合計画の人口ビジョンの目標値設定に当たりましては、本市や県の希望値より低い水準である国の人口ビジョンの数値を基に算出をしております。 そして、子供を持ちたいとお考えの方の希望をかなえるために、子育て世代の方々からご意見やニーズ、アイデアを広くお聞きしてきたところでございます。 そのような中、理想とする子供の数の達成には、子供との生活が楽しいと実感できること、そのためには、雇用主からの手厚い支援が必要なこと、また、家族、とりわけ男性側の子育てに取り組む姿勢が必要なことなどから、そのような子育て環境の整備を行政が積極的に支援することが何より重要であると考え、新年度予算では、「子どもも親もにっこにこプロジェクト」と称して、3億3,000万円余りの予算を計上しているところでございます。 あわせて、出産適齢期にある20歳から40歳代の女性人口が年々減少していくことが出生数の減少につながることから、第2次南砺市総合計画の人口ビジョンでは、社会動態の均衡を2045年に達成する目標を立て、子育て世代の移住に効果のあった事業でありますとか婚活支援事業を引き続き取り組むことにより、人口が下げ止まらないまでも、少しでも緩やかな減少になるよう、より効果が見込める事業を重点的に実施していくこととしております。 いずれにいたしましても、奨励的な給付、いわゆるばらまきと総称される政策につきましては、消費行動などにある程度の効果は認められるものの、移住や就業、出産など、人生において一大決心が必要な行動においてあまり効果的でないことは、国や県を含めて、これまでの地方創生第1期における取組の結果が物語っております。 また、市民の立場から考えた場合、出生数や転入転出数、婚姻数など人の行動につきまして、行政が数値目標を設定すること、あるいは金銭と人口を並べて議論すること自体、押しつけでありますとか無理強いといった印象を与え、拒否反応につながってしまうことが、国でも、本市の外部委員会などでも指摘されているところであります。 したがいまして、目標値そのものにつきましては、あくまでも施策に取り組んだ結果としての姿を数値化したものとして理解を求めながら設定していますので、議員各位におかれましては、目先の数値にとらわれることなく、大局的な観点から施策の成果等を評価、そしてさらなる改善への提言を頂ければ幸いに存じます。 ○議長(向川静孝議員) 山田議員。 ◆2番(山田清志議員) 目先の数字にとらわれずというような発言については、私、納得しかねないところがちょっとあります。 我々、やっぱり押しつけであるとか、市民の負担に係るようなことは厳に慎まなければいけないとは思っておりますが、やはり数値の目標、あるいはそういった計画の数字、そういったものが示されるからこそ、それに沿って話をしているわけでありますし、将来の人口については、それに伴った公共施設の数、あるいは教育の在り方、そんなものがあるんだろうと思った上でお話をしているわけであります。その辺しっかりとご理解いただきたいなというふうに思っております。 次に小・中学校の在り方について伺います。 私は以前より、小学校は小規模であっても、それぞれの地域にあった方がよい。しかし、中学校はどうなのか。子供たちの減少が続くのであれば、将来的に3か所程度の統合中学校とすべきとの意見をしてまいりました。 この先、旧町部の学校であってもクラス替えのできない1クラスの学年や、旧村部の学校では複式学級の増加が心配されております。 子供たちは中学を卒業し、多くが高校へ進学し、その後、大学や社会へと飛び出していきます。中学校まで、ややもすれば保育園から一緒の仲間たちと9年以上も同じ顔ぶれで過ごしてきた子供たちに、小規模学校がもたらすデメリットを心配する声は聞こえてこないのでしょうか。 私は、将来の学校の在り方、保護者や若者はどのような教育環境で子供を育てたいと考えているのか。広く声を聞いた上で、あらゆる観点から議論を尽くし、決定した指針に対して、市民に理解を求めるべきであると考えております。 子供たちにどのような教育環境を与えていくべきなのか。小規模学校を維持する上で、様々な案が当局から示されております。 例えば、12月定例会で教育長が述べられた、部活動の拠点校を設置し、生徒は希望する学校へ通学できる案。これは、多くの保護者から反響を頂いた画期的なアイデアだと理解しております。 しかし、それが数年後に実現されれば、市内の中学生は各地域から放射線状に通学し合うことになり、中学校の統合は今後、議論することも難しくなるのではないでしょうか。 今回の新年度予算では、井口義務教育学校の3年間にわたる増改築予算総額17億円のうち、1年目の予算が計上されております。 私は、義務教育学校の開設に対しては異を唱えるものではありませんが、ハード面の取組に対しては、市民に見える形で、学校の在り方の議論をしっかりと行った後に、責任を持って進めていくべきだと考えております。見解を伺います。 ○議長(向川静孝議員) 松本教育長。   〔松本謙一教育長登壇〕 ◎教育長(松本謙一) 小・中学校の在り方については、全ての中学校区に将来、義務教育学校を設置するという見通しで、地域と一体化した学校運営、そして小中一貫教育を進めていきます。 これまでに実施した地域円卓会議や地域づくり協議会連合会、南砺市PTA連絡協議会等への説明・意見交換では、いわゆる小規模校になることを懸念する意見もありました。しかし、おおむね理解をいただいているのではないかと考えています。 近年、教育の専門家の間では、世界的にも教育効果が高まる適正な教室の人数は、1学級20人、これが最適であると言われています。 このことを踏まえると、今、小規模学校のデメリットと言われている人間関係の固定化を防ぐため、来年度から1学級1担任制を見直し、チーム担任制として、朝の会や体育、図工などの教科で、複数の教員が学年全体や2つの学年をまたがって支援・指導していく体制を整えます。 複数の教員が指導することや、小学校での教科担任制を行うことで、教員の良さを生かした質の高い授業を行うことが可能となります。また、適切な人数で多様な意見に触れ合う機会が多くなります。これらを実施することにより、小規模校の課題を克服していけるものと考えております。 現在の中学校を統合して、1学年に4から6クラスの中規模学校にすることについては、今後、地域や保護者などから強い申入れがあれば、20年から25年後の児童・生徒数を見ながら、当然選択肢の一つとして議論していきたいと考えております。 老朽化した校舎の改修については、築後40年以上経過した学校が長寿命化の対象となります。 令和3年4月開校する予定の(仮称)井口地域義務教育学校については、統合予定の井口小学校は建築後50年、井口中学校は建築後38年経過しており、小学校については既に改修すべき時期を過ぎているんです。市内で初めて設置する義務教育学校になりますので、南砺市が進める小中一貫教育の実践モデル校として、先導的な教育課程が効果的に実施できる校舎として整備していきたいと考えております。
    ○議長(向川静孝議員) 山田議員。 ◆2番(山田清志議員) 今ほど答弁にありました、いろんな市民の関係団体の方々がおおむね理解を示されておるということについては、もう少し常任委員会等でも伺いたいことがいろいろとあるわけであります。 また、今ほどの答弁にもありましたように、小規模校である課題をこうすれば克服できるという話がありましたが、克服しなければいけないということ自体が問題なのであって、小規模校であることのメリットがあるからそういうふうに進めていかなきゃいけないと。であるから、こういうことを克服するんだというような対応策を述べられること自体が、我々にとっては、本当にその方向が正しいのかというふうに疑問を思うわけであります。 それについても、常任委員会のほうでしっかりとお話を頂きたいというふうに思っております。 いずれにいたしましても、こういった子供たちにどのような教育環境を与えることが最良であるのか。 一昨年は、市の統合庁舎の課題について、市民に見える形で、いろいろな観点から議論を行い、結果については説明を丁寧にしてまいりました。市民にとって、小・中学校の在り方というのは、統合庁舎と同等以上の重要な課題でないかなというふうに考えております。 このことにつきましては、開かれた場での検討会が必要でないかというふうに考えます。常任委員会でしっかりと提案したいというふうに考えております。 次に、農業を取り巻く諸課題について質問いたします。 農業・農村の現状や問題点については、これまで何度も議論の俎上にのせられており、当局も将来に向けての重要性は認識いただいているかと思っております。 現在、市内農業従事者の76%が65歳以上となり、そのうち約半数の方々が75歳以上となりました。 確かに、現在の高齢者は、私たちが子供の頃に見ていたおじいちゃんたちに比べればはるかに若々しく、また、農業機械の進歩により、70歳、80歳になっても農業の専従者として、現役で活躍いただいております。 一方で、全国的にも機械作業中による死亡事故の多くは高齢者であり、いずれ年齢的な衰えからは避けられないものと心配しておるところであります。 各集落で開催された冬季座談会においても、今年も話題の中心は、農業者の高齢化と作業員の人材不足から、集落機能の維持や田畑の管理がいつまで続くかとの懸念であります。 農水省は、1月下旬に開催した食料・農業・農村政策審議会で、次期基本計画の考え方を示しましたが、特に農業の担い手については、従来の認定農業者、営農組織への農地集約、そして産業施策としての法人化への取組に対してはトーンの下がった表現にとどめ、家族経営などの小規模農家が、耕作条件の悪い中山間地の重要な担い手として農地の保全に努めている旨を強調。多様な形態を含めた、持続可能な経営モデルを示したいと述べております。 そこで、第2次南砺市総合計画でありますが、提案されたビジョンには今後10年、市の目指すべき姿がコンパクトに記載されているのでありますが、産業としての農業の将来像だけでなく、地域の景観や住環境、防災面から見ても、大変重要な役割を担っておりながらも、数年後には著しい後退が懸念されている農業の将来像について、市の考えが十分に記載されていないのは非常に残念であります。 総合計画第4章の、市民アンケートからの重要度、満足度の移動分析では、農林業を身近なこととして感じる方が10年前に比べて減少し、全世代での関心が低下している。結果、重要度が下降したとの記載がありますが、こういった状況分析を踏まえて、市の総合計画への記載が消極的になったということでありましょうか。 農業は、単なる産業ではなく、かけがえのない自然環境を維持する重要なファクターであろうかと思っておりますが、当局の見解を伺います。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 総合計画の内容、農業についての記載が不十分でないかということでありますので、私のほうから答弁をさせていただきます。 今、議員おっしゃったとおりで、農業の多面的機能というのは非常に重要だということは認識しております。 南砺市を含む多くの地方農村地域においては、農業者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加などで、地域農業の将来展望が描けない状況に陥っております。 このような状況の中で、今後、地域の中心となる農業経営体はどこか、そこへどのように農地を集積・集約していくのか、地域農業をどう支えていくのか。また、それらの課題解決に向けて、行政が取り組むべき対応については当然行っていかなければならないと考えておりますが、それと同時に、市民の皆様が将来も住み続けたいと願う地域の実現に向けた取組も、行政が果たすべき大きな役割であると考えております。 そのため、第2次南砺市総合計画では、市民の皆様からのご意見やアイデアから紡いできた将来の南砺市像を達成するため、人口対策に特化し、戦略的に取り組むべき施策については、南砺まちづくりプランにおいて対応し、行政が基本的に対応していかなければならない課題解決の取組については、個別計画で対応するものとして整理をしております。 したがいまして、議員のご指摘のように、市民アンケートの結果による各分野における重要度の高低によって、農林業分野に対して消極的になったのではないかとされる点につきましては、第2次南砺市総合計画策定の趣旨を十分に勘案されますと、ご理解いただけるものと考えております。 なお、今後の本市の農政ビジョンにつきましては、個別計画である農業経営基盤の強化の促進に関する基本構想及び山村振興計画の中で示しているところでございますが、これら計画の中では、担い手が目指すべき経営戦略の方向性や、新規就農者の育成・確保についても、各地域の農業の特性を考慮した目標を掲げております。 また、単に農業生産だけでなく、農山村振興についても触れており、定住の促進及び人口減少対策、産業振興、自然との共生や活力ある農村づくりについてもお示しをしております。 今後、国や県の農業経営基盤の強化策の改正に合わせ、個別計画の内容を更新する予定としております。本市の地域の状況に沿った農業・農村地域の持続可能な将来展望となるよう改正することとしており、引き続き農業政策にもしっかりと取り組んでいくこととしております。 私からは以上です。 ○議長(向川静孝議員) 山田議員。 ◆2番(山田清志議員) 後継者に対しまして、農業の魅力と夢を示していく上で、米など主穀作以外にも、特産物振興に対し注力しなければなりません。 近年、市は、UIJターンなどの移住者施策に力を入れ、実績も上げていただいており、移住した方々が希望する職業に農業が含まれていることは明るい話題であります。 しかし、その内容は、市内の営農組合などが主体的に取り組む主穀作ではなく、果樹や野菜など園芸分野が中心であります。 市には、彼らが農業の実地研修を終え、起業し経営者として自立する過程において、県と協力して支援していただくことを、今まで以上にお願いいたします。 そのような中、新年度は、懸案でありましたあんぽ柿加工センターの建設が予算計上されております。 昨年、9月定例会で質問させていただいた際には、「あんぽ」「干柿」「柿ごのみ」合わせて年間30万個の生産を目指していくとのことでありました。 私はかねてから、園芸作物の振興や、加工特産物の開発は多額の費用がかかることに加え、理解し参入する農業者も未知数であること。加えて、トップブランドに育てていくためには時の運も必要になってくる、大変難しいものであると申し上げてまいりました。 新しいものにチャレンジする気持ちも大切ではありますが、先人が築いてくれた既存のブランドを維持する方がいかに堅実で、確実であるかとの思いであります。 あんぽ柿加工センターは、園芸での就農を目指す若者の安定した受け皿となれるのか。高齢化が進み、放棄樹園地が懸念される地域の救世主となれるのか。 今回計画される加工センターの竣工時期、樹園地を借り受けて事業を始められる時期、雇用する人員計画など、事業の計画と、期待される効果について報告願います。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。   〔芝井 広ブランド戦略部長登壇〕 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 平成30年12月に設立された農事組合法人富山あんぽ柿共同加工センターでは来年度、あんぽ柿共同加工施設の建設を予定しております。 事業計画は、総事業費3億7,675万9,000円、補助総額2億4,489万1,000円、補助率が国2分の1、県10分の1、市20分の1となっており、国の強い農業・担い手づくり総合支援交付金を財源として予定しています。 あんぽ柿共同加工施設の完成は、令和2年度末を目指していますが、施設建設に合わせて、皮むき機、乾燥機及び包装機等の機械整備を行います。 人員計画は、専任雇用2名、臨時雇用約20名程度を確保したいと考えています。 生産量は、「あんぽ柿」「柿ごのみ」合わせて年間42万1,000個の加工を目指しています。 昨年、9月定例会で議員のご質問にお答えした内容より12万1,000個増加となっています。これは、県、市などの関係機関との協議の中で、加工工程の省力化による生産性の向上を図り、「あんぽ柿」「柿ごのみ」の生産量を増やすことが可能となりました。 樹園地の共同管理による耕作面積は、令和2年度10ヘクタールの樹園地の借入れを行い、今年秋の収穫が終わり、来年2月頃から剪定作業を開始する予定としています。 あんぽ柿共同加工施設整備の効果として、さらに新規就農者の創出が図られることや、高品質で均一な生産が可能となるものと期待しております。 今後、市として国・県、農協、富山干柿出荷組合連合会など関係機関と連携を図りながら、若い就農者の希望が持てる組織となるよう支援するとともに、特産「富山干柿」による地域振興を図り、地域ブランド商品として、世界に向けた販売戦略を基に情報発信を行っていきます。 ○議長(向川静孝議員) 山田議員。 ◆2番(山田清志議員) 次に、販売促進策について伺います。 全国的に干し柿の需要が伸びていない状況において、42万個の新規製造と販売であります。いかにトップブランドといえど、価格を維持した上で販売網に乗せていくことには工夫が必要です。 「富山干柿」は近年、台湾、香港、シンガポールなどへの輸出を伸ばしており、高価格で取引されることから、生産者手取りにも寄与しているとの報告を受けております。 今後は、繁忙期のずれに着目して、中国への旧正月向けへの販売や、スイーツ大国であるEU諸国への輸出に向けた販売活動も視野に入れていくべきではないでしょうか。 その上で、輸出成功の鍵を握るのは、登録認定の取得です。以前から申請作業に入っているGI、地理的表示保護制度。なかなか取得に至らないのは何が問題となっているのか。 また、食品衛生の国際基準として、東京オリンピックを控えた日本でも、認識が急速に高まったHACCP。これはアメリカで始まった食品の衛生管理に関する認証でありますが、現在は欧米輸出における重要な条件であります。 このHACCPは、製造施設が分散する従来の干し柿農家では取得が難しいと思われておりましたが、このたび稼働を目指す加工センターではいかがでしょうか。 対応する設備を整備していくことができるのか、支援する準備があるのか、当局が考える農産物加工品の輸出戦略と併せて見解を伺います。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 「富山干柿」の地理的表示保護制度(GI)の登録については、富山干柿出荷組合連合会が、平成30年3月に登録申請を行いました。 令和元年12月に、このGI申請に伴う現地調査が無事終了しました。関係機関からの情報では、通常、申請から登録までには2年間程度要するのが一般的で、議員からのご指摘いただいておりますGI登録は、間もなく行われると認識しております。 次に、HACCPは、食品を製造する際の工程上の安全を確保する衛生管理の制度ですが、食品衛生法の改正により、令和2年6月1日から、全ての食品等事業者が衛生管理計画を作成し、管理を行うことになります。そのため、県は各機関等と連携しながら、食品事業者を対象としたHACCP研修会を行ってきました。 富山干柿出荷組合連合会では、干し柿農家もHACCPに沿った衛生管理を実施することにしており、令和2年度に建設予定のあんぽ柿共同加工施設についても、国・県・市及び関係機関が協力し、HACCPに対応した施設となるように準備を進めてきております。 先般、富山干柿出荷組合連合会は、輸出戦略として国に応募した、食品輸出プロジェクト、GFPグローバル産地計画による輸出の拡大を狙っております。 この計画の実施により、これまで輸出実績のある中国やアセアン諸国以外に、EU加盟国などへの輸出も可能となり、世界的な販路拡大につながるものと期待しております。 その他の市内農産加工品につきましては、「富山干柿」を先進事例として、海外輸出の拡大に努めていきます。 ○議長(向川静孝議員) 山田議員。 ◆2番(山田清志議員) 次に、昨年12月の臨時国会で成立した法律、特定地域づくり事業組合について伺います。 これは、過疎の危機にさらされている地域、特に農業の分野で共通の課題である、専従者などの労働力を確保したくても、1年を通して仕事が用意できない、結果、一定の給与水準や社会保障を手当てする財源がないために諦めざるをえない。 一方、就農に関心を示す若者や、UIJターンにより南砺で生活の基盤を考える方にとっても、不安定な労働条件であることから敬遠されていることとなっている。 今回、この法案は、地域全体の様々な、例えば営農組織や果樹、干し柿加工などの業界またはスキー場や除雪企業体など、一時期の季節仕事を組み合わせることで年間の雇用を創出する。就労を希望する方は、事業者が出資した組合に所属し、安定した給与と社会保障を受ける。かつ、国と市町村は25%ずつを組合運営費として助成する。つまり、労働者への給与や社会保障などの組合運営費の50%が補助されるわけでありますから、経営基盤が盤石ではない事業者にとっても、仕事を求める方々にとっても、地域の担い手確保に尽力している市にとっても、ありがたい新法案であると考えております。 この制度に対する調査や重要性は、12月の全員協議会で確認させていただいたとおりであります。 この法律は、今年6月施行となっており、既に国からの事業説明も始まりました。該当する分野は農業のみならず、商工業も所管するブランド戦略部、また、移住希望者と直接向き合う南砺で暮らしません課など、部局をまたいで説明会に参加していただいたと聞いており、心強く思っております。 市内の事業者の多くが取組に強い期待をかけている、この新規事業に対し市の計画を伺います。 ○議長(向川静孝議員) 柴市長政策部担当部長。   〔柴 雅人市長政策部担当部長登壇〕 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) 議員ご指摘のとおり、特定地域づくり事業協同組合は、昨年12月の臨時国会で成立した法律である、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律において規定された地域社会の維持及び地域経済の活性化を目的とする、都道府県知事の認定を受けた中小企業等協同組合法上の事業協同組合のことであります。 従業員や事務局の人件費を国が財政支援し、しかもその支援には期間の定めがないという点で、非常に画期的な制度であると考える反面、行政がここまで支援を行わないと、地方での人材確保ができない状態であるとも言えます。 同法では、過疎地域が対象地域として示されていることから、本市全域で活用できる制度であり、市の役割としては、運営費の補助に加え、対象団体が取り組みたいことができるよう、県と連携してコーディネートすることであります。 参考までに申し上げますと、本制度における事業協同組合での雇用形態は無期限の雇用職員で、年間270万円程度の給与が示されており、国では、市内外の若者の雇用を中心に想定しております。 これから子育てでありますとか結婚を迎える若者を、生活給の昇給が難しい仕組みの中で、無期限に雇用することが適当かどうかについては今後の検討事項となりますが、本事業では、この事業協同組合を設立すること自体を目的とするものではありません。 すなわち、事業協同組合の仕組みを活用することで解決できる生業があり、高齢者や仕事をリタイアした方などを含めて、地域の人材をうまく活用しながら、年間を通じて仕事が確保できるような、地域と自治体が協働で取り組むことで、地域社会の維持及び地域経済の活性化に資することを目的としているものであります。 いずれにいたしましても、本事業協同組合は、地域や団体、市民など関係者の方々が主導し立ち上げる。そして、地域の仕事の担い手となる組織であることが基本であるということでございますので、市としましては、農業分野のみならず、幅広く地域の声をお聞きしながら、特定地域づくり事業協同組合の設立に前向きな地域でありますとか団体に対しまして適切に情報提供を行いながら、県とも連携を図りつつ、コーディネーターとしての役割を果たしていきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 山田議員。 ◆2番(山田清志議員) やっぱり、南砺市には農業にしろ、除雪の関係にしろ、スキー場にしろ、一時期の季節だけの雇用を求める団体、いろいろたくさんあります。 一方で、やっぱり安定した給与、社会保障を受けていただかないと、働く方にも申し訳ない。ただ、今、非常に画期的な法案なんですが、知らない市民の方もたくさんおられる中で、今、部長言われたように、しっかりとこのコーディネーターとしての役割を果たしていただいて、何とかそういった方々に仕事を結びつける、そんな役割を期待しておきます。 次に、鳥獣害対策に対する恒久柵について伺います。 中山間地域では、10年以上前からイノシシによる圃場侵入に悩まされており、侵入を許した被害圃場については、米に体臭が付着するなどの指摘から、侵入箇所の両脇1メートルの稲を刈り倒し、カントリーエレベーターなどへ搬入しないことで風評被害の防止に努めてまいりました。 しかし、その作業は全て人力によるもので、農家にとっては無力感に加え、体力的にもつらい作業となっております。その状況下で、各集落は電気柵を張り巡らしてきましたが、山と里を完全に遮断することはできず、結果、毎年のように設置区間を延長することとなっております。 電気柵は、設置自体はそれほど労力がいるものではありませんが、漏電防止のために頻繁な草刈り作業が求められ、設置距離の長さも相まって、多くの労働力を要とする事態となっております。 このたびの新年度予算において、恒久柵設置に対する補助事業が盛り込まれたことは、該当する地域にとって大変希望の持てる事業であろうと考えます。 新年度の事業内容と加えて、現在、市が把握している電気柵の設置距離はどのくらいか、また、いずれその大多数が恒久柵に置き換わっていくと推察しておりますが、どのような計画を立てているのか。 国でも、新年度予算に100億円を超える鳥獣被害防止総合対策交付金を計画し、恒久柵もその対象としておりますが、この交付金の活用を含め、市の考えを伺います。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。   〔芝井 広ブランド戦略部長登壇〕 ◎ブランド戦略部長(芝井広) これまで、市では南砺市鳥獣被害防止計画に基づき、鳥獣害対策として、侵入防止柵設置によるすみ分けのほか、集落周辺林等の刈払い、わなや銃による捕獲の3つの対策を柱として進めてきました。 電気柵の設置に関しては、設置要望のあった集落に対して、鳥獣被害防止総合対策事業として、実質設置費の7割を助成しています。 電気柵の総延長は、令和2年度末で77地区、総延長241キロメートルでございます。さらに、令和2年度当初予算として14地区、約37キロメートル分を予定しており、更新分を除き、82地区、総延長277キロメートルに達する見込みです。 電気柵の導入支援として、県では国の中山間地域所得向上支援対策事業による恒久柵の導入支援制度を設けています。しかし、設置費用が高額になることや費用対効果、高収益作物の作付による所得向上が必須であることなど、補助要件が厳しいため、市では活用を見合わせています。 このような状況の中、省力化を目的に、県内では平成27年から恒久柵を導入してきたことを参考に、専門家のアドバイスも頂き、令和2年度に市単独事業として計画いたしました。延長距離にして1.2キロメートル程度の設置を予定しております。 今後、獣害発生地域の地形や環境条件等を踏えた電気柵との複合利用や、被害防止対策講習会、里山の森林環境整備、捕獲対策強化などを行い、猟友会、森林組合等の林業経営体とも連携を図り、より効果の高い対策を進めていきます。 ○議長(向川静孝議員) 山田議員。 ◆2番(山田清志議員) 最後に、本来であれば、中山間地域ならこそのスマート農業、あるいは中山間地にこそ必要な土地改良事業についてお伺いしたかったわけでありますが、時間がないようでございますので、全員協議会で改めて伺いたいというふうに思っております。 いずれにいたしましても、今回の市の総合計画にも含まれておるんだろうと思いますが、この南砺市の山沿いの地域こそ、向こう10年の間に大きく変貌するんじゃないかというような不安を抱える中で、あまりにも、山沿いの特に中山間地域に対する農業の対策が見えてこない。抜本的な、こうすれば10年たってもまだこの景観を守っていけるんだというものが見えない、そんな思いでいろいろと質問させていただいておりました。 改めてでありますが、スマート農業、あるいは土地改良事業、こういったものこそが今、中山間地域に求められているんだなというふうに思っておりますので、後日、改めてお伺いさせていただきます。 これで私の質問を終わります。 ○議長(向川静孝議員) 9番、中島洋三議員。   〔9番 中島洋三議員登壇〕 ◆9番(中島洋三議員) 自民クラブの中島洋三でございます。 通告に従い、一問一答方式で質問いたします。 この冬は、異常な暖冬に見舞われました。記憶にないほどの雪不足の中、「とやま・なんと国体2020」が多くの関係者のご尽力によって開催にこぎ着けられたのは、まさに奇跡が起こったとしか考えられません。 また、アルペンの水口雄太選手や、クロスカントリーリレーでは清水選手、宇田選手、広瀬選手、山下選手のリレーチームが優勝を成し遂げてくれるなど、多くの感動を与えてくれました。 数々の困難を乗り越えての、大成功で終わったのではないかと思っております。改めて、関係者の皆様方に感謝を申し上げます。 一方で、暖冬の影響により、多くのダメージがあったことも否めません。 さらに、追い打ちをかけるように、新型コロナウイルスの発生によるダブルパンチで、経済活動や学校、イベント関係など、市民生活に暗い影を落としています。 このような状況の中、関連のある幾つかの質問をさせていただきます。 まず最初に、道路除雪についてお伺いをいたします。 毎年5億円弱の除雪対策費が計上されております。そのうち、3億5,000万余りが除雪業務委託料として予算化されております。 今シーズンは、さきにも述べたとおり降雪量が少なく、道路除雪を請け負っている事業者にとっては、ほとんど除雪作業がない状態でありました。 まだ降雪期も終わっていない状況であります。今日も雪降っておりますけれども、これからの降雪も見込めない中、これまでの出動状況と、それと除雪業務委託料の見込額はどのくらいになるのか、お伺いをいたします。 ○議長(向川静孝議員) 答弁を求めます。 窪田ふるさと整備部長。   〔窪田 仁ふるさと整備部長登壇〕 ◎ふるさと整備部長(窪田仁) 除雪状況については、市内全域で除雪車が一斉出動した日数は、平成26年度から平成30年度までの過去5年間平均で10.4日であります。今年度は2月末現在までに2日となっており、暖冬であった昨年度の3日に比べて、さらに少なくなっております。 また、今期の除雪業務委託料につきましては、過去5年間の平均は約4億円でありますから、今年度は2月末現在までの概算額で約1億2,000万円となっております。 この先の天候を勘案すると、今年度の除雪費は大きく伸びることはないのではないかと思っております。 ○議長(向川静孝議員) 中島議員。 ◆9番(中島洋三議員) 今、ちょっと答弁聞きまして、すごい減ってびっくりで、予想はしておりましたけれども、ちょっとびっくりしております。 じゃあ、次の質問に移ります。 ここからの3つの質問に対しては、市長の提案理由の中で触れておられましたけれども、山間部の建設業者にとって毎年、冬は除雪作業が主な仕事となっております。それは、降雪量が平野部と全く違うということと、それと冬期間は積雪のため建設作業がほとんどできないということであります。 降雪時には待機料も支払われていますが、今シーズンは、先ほども話しあったようにまとまった降雪もなく、言わば飯の食い上げ状態に陥っているのではないかと思います。 除雪オペレーターの確保にも苦慮されている状況の中で、市として救済策はお考えなのでしょうか、お伺いをいたします。 ○議長(向川静孝議員) 窪田ふるさと整備部長。 ◎ふるさと整備部長(窪田仁) 市では、山間部のみならず、市全体で建設業者さん、とりわけ除雪企業体の方ご苦労いただいているということで、これまでも除雪企業体との打合せを重ねながら、大雪注意報等の場合は待機料を支払うことや、常時借上機械の税金、保険料、格納保管等の経費を固定管理費として支払うなど、県の処遇と大差が生じないように取り組んでまいりました。 また、除雪企業が機械を自社で保有する負担を軽減するため、市有除雪車の増強やリース機械の貸与など対応を行ってきました。 しかしながら、この冬のような暖冬では、除雪企業への影響が全国的にも課題となっており、本市においても同様であることは理解しております。 しかしながら、委託料の見直しを行うについては、いろいろな条件がありますので、その内容について精査するためには多くの時間が必要とます。 このことから、今年度の救済措置については、今の時点では難しいと考えておりますが、今後も国や県の動向を注視し、除雪企業の意見もお伺いしながら、どのような取組が可能であるか、検討してまいりたいと考えております。 なお、新年度予算の執行に当たっては、道路の舗装補修や改良工事などについて、可能な限り早期発注を行う予定としております。 ○議長(向川静孝議員) 中島議員。 ◆9番(中島洋三議員) 救済については、今のところ考えておられないと。しかし、国とか県の状況を見て、またもしかするとその余地があるということであります。 それと、私ちょっと失礼しました。山間部のことばかりいいましたけれども、平野の建設業者の方々も一緒ということで、ちょっとその辺は失礼いたしましたと思っております。 それでは、次の質問にはいります。 市内3スキー場についてお伺いをいたします。 これについても、まだシーズン途中ですが、災害と言っても過言ではないほどのダメージを受けています。12月から1月にかけて、全く営業ができない状態が続き、間もなくシーズンも終わろうとしております。 各スキー場においては、営業に向けての準備を進めてこられた中での雪不足は、非常に歯がゆい思いをされてきたのではないかと察します。また、スキー客がスキー場だけはなく、宿泊施設や商業施設などにも立ち寄るであろうことを考えると、その経済損失は大きなものがあると思います。 以前にも、暖冬の影響で売上げ収入が落ち込み、補正予算が出されたことも記憶にあるところですが、今シーズンはその比にあらずということを感じています。 ここでも救済策が必要ではないかと思いますが、どのように考えておられるのか、お伺いをいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。   〔芝井 広ブランド戦略部長登壇〕 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 今シーズンの各スキー場の営業状況は、たいらスキー場は2月1日に営業を開始し、2月12日から2月20日の国体開催による一般営業の休止を挟み、営業を現在も継続しています。 タカンボースキー場は2月8日に営業を開始し、2月20日まで、滑走可能は9日間のみで営業を終了しました。 イオックスアローザスキー場は2月2日に営業を開始し、上部のみと全面滑走合わせて19日間営業し、2月25日から雪不足により、営業を休止しています。 ご指摘の雪不足対策としてはこれまで、平成27年度、28年度のシーズンにおいて、指定管理制度の天候リスク負担金を支出しております。 天候リスク負担金は、営業開始日から1月15日までの全面滑走可能日数が過去3か年平均の5割未満となった場合を適用基準としております。負担金額は、スキー場オープン前の索道等の修繕及び準備費用に、過年度の索道収入額の平均額を基に算出した率を乗じて算出することとしております。 今シーズンの暖冬は、これまでの天候リスクの適用基準を大きく超えており、経営に打撃を与えていると当然考えております。 各スキー場の運営状況は逐次、市としても確認しておりますが、シーズン途中でもあり、対応策については今後検討していきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 中島議員。 ◆9番(中島洋三議員) ぜひとも、よろしくお願いいたしたいと思います。 ちょっと似たような話ですけれども、今度は観光、それから宿泊施設についてお伺いをいたします。 暖冬とコロナウイルスの影響により、特に宿泊施設ではキャンセルが相次ぎ、国内においては新型コロナウイルスの影響で、倒産する宿泊施設も出るなど、非常に厳しい状況が続いています。 一方で、観光施設においては、一部ではそんなにも影響が出ていないとのお話も聞いておりますが、人の流れが悪くなっているのは間違いなく、また、新型コロナウイルス肺炎の終息も見通せない中、先行きを不安に感じている宿泊施設が多いのではないかと考えます。 これも同じですが、市からの支援が必要ではないかと思いますが、いかがお考えか、お伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 今冬の記録的な暖冬は、観光・宿泊施設の経営にも大きな打撃を与えたと考えております。さらに、新型コロナウイルスの影響により、終息の時期が見渡せない厳しい状況が続くものとして、非常に懸念しております。 観光業等の中小企業・小規模事業者対策として、国は日本政策金融公庫等に5,000億円の緊急貸付・保証枠を確保し、公庫等による貸付けや信用保証協会によるセーフティネット保証により、資金繰りの支援を行っています。 また、県では2月17日から、新型コロナウイルス感染症に関する中小企業金融相談窓口を商工労働部経営支援課内に設置し、経営安定資金、経済変動対策緊急融資などの利用を可能にしております。 市としましても、国・県の今後の支援策も不透明な状況でありますが、これらの支援の周知、情報提供を適時に図るとともに、喫緊の取組として、現在運用している利子補給金の制度の拡充などを考えていきたいと考えております。 また、新型コロナウイルスの終息時期をにらんで、誘客推進として、コンベンション事業の柔軟な運用などによる宿泊費の助成など、観光・宿泊施設の活性化施策についても併せて検討していきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 中島議員。 ◆9番(中島洋三議員) 宿泊施設については、本当に全国的に非常に厳しい状況が続いております。インバウンドというか、外国からの観光客も本当に今すごく減っていますし、逆の場合も、日本から外国へ行くことも今、ちょっとままならないような状況が続いておりますが、ひとつその辺をよろしくお願いしたいというふうに思います。 それでは、次の質問に入らせていただきます。 新型コロナウイルスの対策についてお伺いをいたします。 お断りしておきますが、質問内容は、2月27日に提出したものとなっており、それ以降の状況が大きく変化しています。既に私の質問についての対応や方針が決まっているものばっかりかなというふうにも思いますが、いま一度、確認の意味も含めて、最新の状況も踏まえた答弁をお願いしたいと思います。 昨年12月頃から中国の武漢市で発生した肺炎は、新型コロナウイルスが原因であることが判明し、今や世界に多くの新型コロナウイルス感染者が確認され、亡くなられた方も出ております。 分かっていることは、高齢者や糖尿病などの疾患を抱えている人が重症化しやすいということ、感染したからといって必ずしも症状が出るものでもないということ、特に若年層は抵抗力が高いため、その傾向が強いということです。 また、感染者の症状が完治し、再検査で陰性であっても、その後再び症状が現れ、陽性反応が出たというケースもあったということですから、今回のコロナウイルスについては非常に厄介なウイルスかなというふうにも思われます。 石川県で県職員の感染者が発生したことや、千葉県在住の女性が南砺市に立ち寄り、その後、感染が確認されたことから、市としても新型コロナウイルス感染症対策本部を設置されました。素早い対応であったというふうに思います。 国内では日々状況が悪化する中、感染拡大予防など懸命な対策が講じられておりますが、先が見えない状況で、混乱が大きくなってきています。 マスクの着用やうがい、手洗い、手のアルコール消毒は、感染を防ぐための基本的な方法でありますが、マスクや、それからアルコール消毒液などが今、手に入りづらい状況が続いており、また、間違った情報が流れ、トイレットペーパーまでもが品薄となっており、憂慮されます。 重要なことは、慌てずに冷静な行動を取ることではないかと思いますが、市としての感染予防対策のお考えをお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 新型コロナウイルスの影響についてでございます。 昨日、日本国内での感染者が1,035名ということで、1,000人を超えたということで大変心配をしておりますが、一方で、クルーズ船を抜きますと300人弱ということでありますし、発症しない方もいらっしゃるとか、重篤化した方も様子を見れば非常に軽くなってきているとか、いろんな話があるわけですが、とにかくワクチンがないこと、また決まった薬がないということからの不安材料が大きいということだろうと思っております。 市といたしましては、感染予防対策について、新型インフルエンザ等の対策行動計画というものを持っておりまして、それに準じまして、発生前から感染が拡大した段階まで、一連の流れを持った感染症の対策を実施することとしております。 令和2年2月22日に、南砺市の新型コロナウイルスの感染対策本部を設置しました。まずもって、国・県等の情報収集を図るとともに、随時ホームページ等を活用して市民の皆様への情報提供に努めていこうということでございます。 感染症拡大防止の観点からは、不特定多数の方と接する機会の多い行政センター窓口、税務相談会場や図書館などに職員用マスクの配布、多数の人が集まる会場にはアルコール消毒薬設置の対応を行っております。また、手洗い、せきエチケットの徹底や、風邪のような症状のある方は外出を控えるなど、各施設に注意喚起のチラシを掲示させていただきました。 感染症予防対策については、新型コロナウイルス感染症に限らず、風邪や季節性のインフルエンザ対策と同様に、市民一人一人の適切な行動が重要であり、引き続き基本的な公衆衛生対策の周知に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 中島議員。 ◆9番(中島洋三議員) それでは、次の質問に入ります。 国内では、イベントなどの中止や延期、あるいは規模の縮小を決定している自治体や団体が目立つようになってきました。 南砺市においても、国の基本方針に基づき、2月28日から3月15日までの間、市主催のイベント、会議、集会など中止や延期、あるいは制限をつけることを決められました。 また、市が後援・共催するものや、民間団体等が主催するものについては、協力や周知を図ることとされました。 感染状況によっては、期間の延伸についても対策本部で協議されるそうですが、今後も市内においていろいろなイベントが予定されております。 このような状況がいつまで続くのか、全く予想もつきませんが、イベントなどについて、市としてどのように考えておられるのか、所見をお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 先月の27日に開催をいたしました南砺市の新型コロナウイルス感染症対策本部第2回の会議において、市の主催するイベント、会議等については、国の基本方針に基づきまして、今月15日までの原則延期または中止とさせていただきました。また、市が後援・共催するイベント等についても、市の方針を説明し、御協力をお願いしているところでございます。 また、個人、民間団体の主催されるイベント等についても、市の方針をできる限り周知をしているところでございます。 現在のところ、ライブハウスだとかスポーツジムだとか、いろんなところから広がってきているという全国的なニュースを見ておるところでございますが、とにかく、この一、二週間が、拡大するか、終息するかの大変重要な時期だということで、徹底的にこういった対策を実行することによって、今後、そういった、ある拠点に対する拡大が広がらないようにというふうに思って取り組んでいるところでございますが、この後の状況、全国的な状況がどうなるかによっては、今後のイベント延期、イベント中止の期間をどうするかということも、延長も含めて考えていかなければならないということであります。 いずれにいたしましても、市では感染拡大の防止に向けまして、とにかくしっかりと、この瀬戸際である1週間、2週間を全力で取り組むということを、市民の皆さんに非常に理解をいただきまして、共催・後援のイベントもそうですし、個人的ないろんなイベントも延期になっているということをお聞きしておりますが、そういった意味では、大変市民の皆様にもご迷惑、そしてご心配もおかけしながらもご協力をいただいているということでございますので、改めて皆様方に感謝申し上げたいなというふうに思います。 ○議長(向川静孝議員) 中島議員。 ◆9番(中島洋三議員) 新型コロナウイルスについて、クラスターという、何か集団感染というのをよく耳にします。そのクラスターという言葉を聞いて、実はちょっと不謹慎ですが、南砺市が合併した当初の中、その言葉をちょっと思い出しまして、何やったかなというふうに思いましたが、クラスターというのは集団ということであるということを、もう一回再確認をしたところでございます。 次の質問に入ります。 北海道では、学校現場での新型コロナウイルスの感染が相次いで確認されたことから、全ての公立の小・中学校が1週間休校する措置が取られました。 その後、政府も、この一、二週間が感染拡大を防ぐ重要な期間と捉え、一律に全国の小・中学校などに臨時休校の措置を取るように要請し、県や市町村をはじめ教育現場や、子供をお持ちのご家庭、また、学校給食に関わっている事業者などに混乱を招いていることは否めません。 しかし、今の状況を考えると、感染の拡大を防ぐためにはやむを得ないのかなとも思います。 市においても、小・中学校については3月2日から春休みが終わるまで休校とすること、保育園、認定こども園については通常どおりの保育は行うが制限を設けること、子育て支援センターは休館とすること、放課後児童クラブは条件付で受け入れること、児童館は休館とすることなど、方針を打ち出されました。 小・中学校や保育園などの対応について、最新の状況も含め、現段階でのお考えをお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 新型コロナウイルス感染症への対応といたしまして、教育委員会、特に今回、小・中学校、保育園ということでありますので、教育委員会で対応していただいております。 まずは、2月25日に臨時に保育園長・小中校長会を開催し、感染症対策について周知徹底を図っていただきました。 翌26日には、保護者宛てに感染症対策について周知徹底を図るとともに、各保育園、小・中学校に対して、新型コロナウイルス感染症が発生した際の危機管理マニュアルの作成を依頼しております。 これが2月27日の夜でしたか、安倍首相の小・中学校、特別支援学校等の臨時休校の要請がありました。私はそのテレビを見て驚いたわけでありますが、すぐに教育長、教育部長と相談をしまして、全国の小・中学校、高校、特別支援学校を3月2日から臨時休校にできるかどうかというような議論をしていただきました。 特に、2月27日の夜だったかと思いますが、教育委員会、かなりいろんな情報収集をして、砺波、また小矢部等の市町村との連携も図りながら、臨時休校、とにかく2日からできるかどうかということ、かなりいろいろと課題もあったかと思いますけれども、2月28日に早朝8時半から、2回目の臨時の保育園長・小中校長会を開催していただいて、臨時休校にスムーズに入ることができるように、共通理解を図っていただいたということでございます。 そして、3月2日には3回目の臨時校長会を開催し、この28日の時点で、3月2日から春休みまでという臨時休校を決めさせていただいたんですけれども、その初日であります3月2日に臨時校長会を開きまして、休業中に児童・生徒の家庭を訪問してくださいとか、電話で逐次連絡を取り合ってくださいとこういったこと、また、家庭での学習をどのように支援していくかなど、市内の小・中学校で共通の理解を図りました。 また、日中は子供を見守ることが大変難しい家庭においては、放課後児童クラブで、時間を延長して朝8時から夕方6時半まで預かるということで準備を進めておりましたので、そういったこともお知らせをさせていただきました。 現状、放課後児童クラブは定員といいますか、登録人数が全体で440名弱なんですけれども、現在、来ていただける子供さんたちが20%以下で、非常に安定した状態で児童クラブで活動させていただいております。これは、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんのご理解があってこそというふうに思っております。 今のところはそういう状況なんですが、参加する子供が増えた場合とか、開設場所についても、今後増えた場合にどういうふうに行うかということも検討しなければなりません。 また、支援員が不足する事態が生じた場合には、スタディメイトとか、市の支援員や教員の協力を得ながら、またそのこともしっかりと取り組んでいかなければならないということを、学校側にも皆さんにも了解を得たということでございます。 昨日、3月4日には4回目の臨時小・中学校の校長会を開催しまして、今度は卒業式だとか修了式、そういったことについての検討をさせていただきました。 その中では、卒業式は予定の日に実施するということを決定し、可能な限り時間や人数を縮小しながら、体育館の入り口にはアルコール消毒液を設置し、マスクを携行するなどの感染防止策を執り行うことが確認をされました。また、修了式の実施については、今のところ中止する予定でございますけれども、今後の状況を見ながら判断することとなっております。 保育園につきましては、通常どおり保育を行っておりますが、感染防止のため、できる限り家庭での保育をお勧めをしております。 病児、また病児後の保育についても、通常どおり保育を行っております。 一時預かり、土曜保育・休日保育は、やむを得ない場合のみ受入れを行っている状況でございます。 今後も、保育園長・小中校長会と連携しまして、新型コロナウイルスの感染防止に万全を期し、園児、児童・生徒の支援に当たってまいりたいと、このように考えております。 ○議長(向川静孝議員) 中島議員。 ◆9番(中島洋三議員) 普通のインフルエンザの流行と違って、今回のコロナウイルスについては、本当に今まで経験したことのないような事態が起こっていると、私はそういうふうに理解しております。 このコロナウイルスの肺炎の終息が見えない、それから各方面に大きな打撃を及ぼしております。 今後、本当にたくさんのことを考えていくことがあるわけですけれども、特に市民の皆さんへの情報提供や、それからどういうことになろうとも冷静な行動を取るように注意喚起をしていただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わります。 ○議長(向川静孝議員) 暫時休憩をいたします。 午後1時から会議を再開いたします。 △休憩 午前11時49分------------- △再開 午後1時00分 ○議長(向川静孝議員) 会議を再開いたします。 各議員による市政一般に対する質問並びに提出議案に対する質疑を継続いたします。 5番、畠中伸一議員。   〔5番 畠中伸一議員登壇〕 ◆5番(畠中伸一議員) 自民クラブの畠中伸一でございます。 通告にしたがい、一問一答方式により個別質問いたします。 来年度からスタートする第2次南砺市総合計画は、南砺市の30年後を見据えた、今後10年間、行政と市民が共に歩んでいく方向を定められたと伺っております。 新たな総合計画で、人類が今までに経験したことのない人口減少に対し、南砺市がいかに立ち向かっていくか、注目しておりました。 人口減で税収が減っても、利用料が減っても、道路延長や下水道、水道などの環境延長を減らす固定費を支え続けなくてはならないインフラ設備、人口減少による避けられない経済の縮小、限界集落への対応、農家の高齢化による耕作放棄田の増加、利活用だけでは進まない空き家の増加、社会保障費の増加など、南砺市の基盤部分が揺らごうとしています。 今回、まとめ上げられた目指すべきまちの姿は、従前の計画と同じ方針で、未来に希望、多様な幸せ、豊かな暮らしとしています。 理想を語る前に、目前に迫っている苦難をいかに切り開いていくのかが重要だと思っております。 まとめられた総合計画について、以下伺います。 第2次総合計画は、昨年2月から市民会議、総合計画策定本部、総合計画審議会などで市民も参加して検討され、各種手順を踏みながら、「誰ひとり取り残さない 誰もが笑顔で暮らし続けるまちへ」を市の将来像として、総合計画をまとめ上げられました。 並々ならぬ熱意で取り組まれた新たな総合計画について、今後の取組とその意気込みを聞かせてください。 ○議長(向川静孝議員) 答弁を求めます。 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 一昨年5月から策定に取りかかってきました第2次南砺市総合計画では、これまで、8地域での検討会議や市民アンケート、市民会議、総合計画審議会などに延べ3,000人を超える市民の皆様に参画をいただいたほか、ローカルサミットネクストにおいては、市外から参加されたまちづくりを実践されている方々からも、総合計画に期待するご意見や様々なアイデアを頂きました。 こうした中、様々な場面において、かつての人と人のつながりを取り戻すことが、各世代で共通してやるべきことであり、また、「住んでいる人が南砺市はすばらしいところだ、また、よいところだと気づくことや、そう思っている人が住んでいる地域こそ、南砺市の将来のあるべき姿ではないか」という、まちづくりに対して非常に前向きなご意見を伺いました。 これらのご意見を基に策定をいたしました第2次南砺市総合計画では、全ての事務事業を総花的に包括していた現行の総合計画とは違い、将来像として「南砺まちづくりビジョン」を示すとともに、戦略的な事業群である「南砺まちづくりプラン」と、行政が通常行うべき取組を掲載した個別計画で構成し、その両輪で、当該ビジョンの達成を目指すこととしたところでございます。 また、本計画の実行に当たりましては、将来像にも記載したとおり、この10年間が、南砺市が一丸となって、覚悟を持って取組まなければならない極めて大切な時期であると考えております。 そのため、何気ない日常として当たり前のように思っている南砺の文化や風土などを再認識、再評価することで、シビックプライドを醸成し、お互いに認め支え合うことで市民が幸せを実感できる、心豊かな暮らしができる地域づくりが必要です。 したがいまして、これまで頂いた市民の皆様からのご意見を十分に生かした取組を進め、未来に希望が持てる「一流の田舎」を目指していきたいと考えておりますので、議員各位には、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。 ○議長(向川静孝議員) 畠中議員。 ◆5番(畠中伸一議員) 今回の総合計画は、別名「南砺まちづくりビジョン」と呼ばれています。ビジョンは構想、未来像ですが、どのような策定方針の下、いかなるスケジュールを踏んで作成されたのでしょうか、伺います。 ○議長(向川静孝議員) 柴市長政策部担当部長。   〔柴 雅人市長政策部担当部長登壇〕 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) 第2次南砺市総合計画の策定方針につきましては、同計画書案にも明文化しており、また、これまでもご説明してきましたとおり、「まちづくりの主体は市民であること」「分かりやすく実行性の高い計画とすること」「段階的に目標となる指標を設けること」「PDCAサイクルにより常に見直すこと」の4つを掲げて取り組んできたところであります。 特に、将来像につきましては、南砺市まちづくり基本条例に込められた市民の思いに寄り添うことを基本とし、「まちづくりの主体は市民である」ことを念頭に、市民アンケートや、なんと未来ミーティング、まちづくり検討会議などからの提言やご意見、フレーズなどを参考にしつつ、若者が中心の市民会議において、市民と職員が共に意見交換を行いながら、将来像や政策の素案づくりに取り組み、本部会議を経て素案の策定に至ったものであります。 そして、4回の総合計画審議会、二度の地域審議会やパブリックコメント、そして市議会に対しましても、これまで13回にわたり説明をさせていただき、本案を策定して、本定例会への上程となったものであります。 ○議長(向川静孝議員) 畠中議員。 ◆5番(畠中伸一議員) 計画は、PDCAサイクルを回すことによって、前計画の足りなかった部分、計画どおり進まなかった理由、計画が想定以上の成果を上げた部分などなど、前計画の実施状況をチェックすることで、今までのベースにさらに積み上げた、よい計画となります。 第4章に第1次総合計画の成果と課題が、8ページ使って詳細に状況分析されています。その中で、課題として表記されている部分は、17 ページに「定住化の推進」「雇用の確保と創出」は、重要度が高い一方で満足度が低くなっており、今後重点的に取り組むべき施策と言えます。 また、18ページには、交通ネットワークの充実が上げられています。 総合戦略では、課題が9点ほど記載されています。これらの課題が次期総合計画の課題に上げるべきだと思うのですが、そう多く取り入れられておらず、次期総合計画に何を引き継いでいくのか、明確になっていません。 総合計画の計画書だけでは読み取れない部分も多くあると思います。 現総合計画の実施状況をチェックした上で、次期総合計画に反映した部分は何であったのでしょうか、ご報告願います。 ○議長(向川静孝議員) 柴市長政策部担当部長。 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) 第2次南砺市総合計画では、南砺まちづくりビジョンとして将来像と目指すべきまちの姿を定めており、その実現に向けて、有効な取組を戦略的に絞り込み、南砺まちづくりプランを策定したところであります。 なお、プランの策定においては、現行の総合計画及び現行の総合戦略の評価検証結果に基づき、特に人口対策に資する課題の解決についてはプランで取り組むこととし、その他の行政として通常取り組むべき事案については、個別計画で取り組むこととしました。 議員ご指摘の定住化の推進や雇用の確保と創出、交通ネットワークの充実につきましては、目指すべきまちの姿のうち「心豊かな暮らしができるまち」の実現に向けた政策や施策として、明確にその方向性を記載しているところであります。 また、現行の総合戦略の評価検証結果からは、働きながら子育てしやすい環境のさらなる充実といった点や、人材育成、継業、事業継承に向けた取組、大勢の市民がまちづくりに参加できる体制の構築などといった諸課題が明確になっていることから、それぞれ4つの目指すべきまちの姿の実現に向けた政策や施策の中で、適切に取り組んでいくこととしております。 ○議長(向川静孝議員) 畠中議員。 ◆5番(畠中伸一議員) 将来像「誰ひとり取り残さない 誰もが笑顔で暮らし続けるまちへ」について伺います。 「地球上の誰一人として取り残さない」はSDGsの誓いですが、これは、世界の貧困層を見捨てないというだけの意味を示すものではなく、世界のあらゆる層が問題の解決に参加し、地球の未来に貢献することを求めているものでもあると説明されています。 南砺市は、「誰ひとりとして取り残されない地域社会である『一流の田舎』を目指す」と計画案に書かれております。 「誰ひとり取り残さない 誰もが笑顔で暮らし続けるまちへ」、その言葉どおり受け取ると、介護や医療、障害者、生活困窮者、ひきこもりなど困っている方々に手を差し伸べ、困っている方々が笑顔になることにより、地域共生社会を実現するものと受け取れるのですが、このような理解でよろしいのでしょうか。 私は、現実の問題を掘り下げることなく、南砺市の理想を描いたビジョンから出発している第2次総合計画の姿に、実は不安を感じております。 一例を挙げさせていただきます。 同じビジョンと名のついた計画に「人口ビジョン」があります。このビジョンの年齢区分ごとの人口、15歳から19歳と20歳から24歳のプランと実績値を見ると、戦略がスタートした2015年、15歳から19歳に対し20歳から24歳は進学などで19.7%減少していました。4年後の2019年のプランでは7%の減少を目指しましたが、実際は27%と、2015 年よりさらに減少しました。 データの成り立ちを見逃し、若者を90%以上も南砺市に残したい、その強い思いが幻を作り上げ、ビジョンとなったのです。ちなみに、ビジョンには幻影、幻との意味もあります。 「誰ひとり取り残さない」と将来像を掲げていますが、生活困窮者やひきこもりの文字がどこにも出てきません。このようなことから、人口ビジョンと同じ幻の思いを持ってしまいます。 改めて、生活困窮者やひきこもりについて、「誰ひとり取り残さない」と将来像を掲げながら記載しなかった理由について伺います。 ○議長(向川静孝議員) 柴市長政策部担当部長。 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) 第2次南砺市総合計画のキャッチフレーズの最初にある「誰ひとり取り残さない」は、持続可能な社会の形成に向けて、国連の宣言文に盛り込まれたフレーズであります。 この国連の宣言文の解釈では、目指すゴールが「全ての国、全ての人々及び社会の全ての部分で満たされること」であることから、いわゆる弱者のみに着目した場合にあっては、対象とする分野が限定されることとなりますが、キャッチフレーズにある「誰ひとり取り残さない」の解釈につきましては、弱者のみならず、外国人でありますとか性的マイノリティ、あるいはジェンダーギャップの解消など、全ての市民を対象とした広い意味での「地域共生社会の実現」ということでご理解をいただきたいと思います。 また、本市の現行の人口ビジョンは、人口減少のうち、若者の人口流出や出生数の減少が重要な課題であったことから、総合戦略において、人口ビジョンの達成に向けて、その減少傾向を改善するために、若者のIJUターンなどへ取り組んできたところであります。 なお、これら総合戦略による取組によって、20歳から24歳の世代に対する成果としましては、決して幻といいますか、悲観するものばかりではございませんで、子育て世代を中心に、総合戦略に取り組んだ4年間で、760人を超える移住があったことから、相応の効果があったものとも考えております。 したがいまして、第2次南砺市総合計画では、これまでと同様、若者の減少傾向の改善に努めていくこととしております。 また、「誰ひとり取り残さない」と掲げているところでございますけれども、生活困窮者やひきこもりへの対応は、行政が取り組むべき業務として、個別計画である南砺市地域福祉計画などにおいて、具体的な事業を推進していくこととしていることから、人口対策に特化した戦略的な事業群である南砺まちづくりプランには、掲載をしないということで整理をさせていただいております。 ○議長(向川静孝議員) 畠中議員。 ◆5番(畠中伸一議員) 計画書の第5章において、財政見通しが記載されています。「人口減少などで歳入が大幅に減少する」とあります。歳出は、「社会保障費の増加、公共施設の老朽化に伴う大規模修繕で多額の維持管理費用が見込まれる」と簡素に、というよりも、さらりと述べています。 平成31年2月24日の第1回南砺市総合計画市民会議の資料では、財政計画を総合計画から外し、事業費計画額を計上するとあります。 南砺市の基本となる総合計画から将来の歳入計画、歳出計画を外すことは、本総合計画が財政に裏打ちされた計画であることを確認できない状況になっています。 令和2年度の議案説明において、下水道事業の長期借入れについて説明がありました。令和2年度から企業債返還額の増加に伴い、水道会計から年3億円、3年間借入れするとのことでした。また、令和7年度から当年度純利益が赤字化します。 道路は路面のひびが目立ち、白線も消えた箇所が多く、補修が追いついていないのが現状です。税収面では、今後、労働人口のさらなる減少によって、市税の減収が見込まれます。国勢調査の人口調査によると、5年ごとに5億円地方交付税が減少すると説明されています。 令和3年度には義務的経費及びその他経費が歳入一般財源を上回るとされていますが、教育費、民生費、土木費など個々の経費がどのように推移するか、まだ示されていません。 財政に裏打ちされてこその総合計画です。10年後を見据えた財政見通しを総合計画に表記し、総合計画の政策的経費を明らかにしていただきたいのですが、見解を伺います。 ○議長(向川静孝議員) 柴市長政策部担当部長。 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) 第2次南砺市総合計画における今後の財政の見通しについては、歳入一般財源額の総額と、歳出における義務的経費や投資的経費などの性質別経費に必要となる一般財源額を試算し、令和2年度から3年間の財源不足額の見通しを示したところであります。 特に、歳入一般財源額の中でも大きな割合を占める普通交付税については、令和2年度から合併算定替の特例から一本算定に移行することに加え、令和2年度実施の国勢調査の結果が、翌年度の令和3年度算定から基準財政需要額に反映されることを勘案し、現在の試算では、令和3年度から対前年度比5億円の減となる約115億円程度となるものと見込んでおります。 このことから、市税等を含めた歳入一般財源総額の見通しについては、決して楽観視できる状況にないと判断されることから、現時点においては、一般行政経費に要する一般財源ベースでマイナスシーリングの継続を、また、投資的経費についてもマイナスシーリングの設定を引き続き検討することとし、予算総額の圧縮も見据えながら、本市の健全な財政運営に取り組んでいきたいと考えております。 なお、議員ご指摘の10年後を見据えた財政の見通しですが、昨今、国の地方財政対策において、普通交付税への新たな算入項目の創設などにより、普通交付税全体の試算が非常に困難な状況であることに加え、各種譲与税等の改正もここ数年、頻繁に実施されてきていることから、これまで同様、3か年分の総合計画ローリングに準じた財政の見通しを立て、毎年、国の動向を注視しながら、3か年分を基本とした財源の見通しを行い、適正な財政運営につなげていきたいと考えております。 また、本定例会に上程しております議案第12号 令和元年度南砺市一般会計補正予算(第5号)では、第2次南砺市総合計画で重点的に取り組むこととしている人口対策に特化した事業の安定的な財源確保を図るため、地方創生推進基金に8億円を追加で積み立てることにしており、今後5年間の事業実施に向けた取組をさらに強化していきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 畠中議員。 ◆5番(畠中伸一議員) 目指すべきまちの姿について質問します。 第2次総合計画では、4つの目指すべきまちの姿を掲げています。「未来に希望が持てるまち」「多様な幸せを実感できるまち」「心豊かな暮らしができるまち」「皆で考えともに行動するまち」、どれも響きのいいワードが並びますが、まだ政策や施策が見えてきません。 「未来に希望が持てるまち」は少子化対策です。「多様な幸せを実感できるまち」は社会保障関連です。「心豊かな暮らしができるまち」は商工業・農業の振興です。「皆で考えともに行動するまち」は地域づくり協議会を含む地域自治の取組と、大雑把ですが、理解させていただきました。 この4つの目指すべきまちの姿で市の課題に対応しているのですが、政策や施策が見えてきません。もっと分かりやすく、ストレートな表現でもいいと思うのですが、見解を伺います。 ○議長(向川静孝議員) 柴市長政策部担当部長。 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) 先ほどの質問でもお答えしましたとおり、第2次南砺市総合計画の策定における4つの基本的な方針の一つに、「分かりやすく実効性の高い計画とすること」を掲げております。 現行の総合計画は、高度経済成長という右肩上がりの成長曲線にあった昭和の時代から、平成の時代が転換期となり、日本全体の人口が減り始めた上に、長期のデフレ経済に日本全体が苦境に立たされた当時としては、商業や工業、農業、林業、公共事業などの分野ごとに「振興」や「推進」を掲げ、各種の施策に取り組むことで成果につなげていこうとする点においては、その時代に合った計画体系であったと考えます。 しかし、現在のように、市民ニーズや課題が多様化する中で、単独の分野のみでの取組では様々な課題へ対応することが難しくなってきており、やはり多分野での連携を図った取組を勧めなければ対応することが難しくなっているとの思いが強くありました。 このため、第2次南砺市総合計画で示しています4つの「目指すべきまちの姿」では、計画策定の基本的方針にある「実効性の高い計画」となるよう、特定の分野に限定した名称で「まちの姿」を表すのではなく、市民から頂いたご意見から、目指すべき10年後の南砺市像を「目指すべきまちの姿」として取りまとめを行い、分野横断的に課題解決に向けたまちづくりを推進することとして、整理した内容となっております。 ○議長(向川静孝議員) 畠中議員。 ◆5番(畠中伸一議員) 目指すべきまちの姿の内容について、2点伺います。 「多様な幸せを実感できるまち」の1番目に、心身ともに健康で暮らしやすい社会とされています。目標は、健康寿命となっています。総合計画の将来像は、「誰ひとり取り残さない」ですから、ひきこもり、生活困窮者なども対象とし、「断らない相談」のために、専門の相談員を充実させるべきです。 さらに、2番目に、「多様性を認める社会の構築」のやるべきことは、外国人児童生徒支援事業、外国人受入態勢整備事業など、外国人中心の事業です。年齢や性別も多様性を認めようと提唱しているのですから、男女共同参画、イクボス、女性管理者も含めているとは思うのですが、主な具体的施策に表記されていません。見解を伺います。 ○議長(向川静孝議員) 柴市長政策部担当部長。 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) ひきこもりや生活困窮者への支援につきましては、既に「断らない相談」を基本に対応しており、平成27年度から福祉課内に生活相談支援窓口を設置し、生活困窮者等の相談窓口として、困窮の理由にかかわらず、誰でも受け入れる体制が整っております。 この窓口業務の体制といたしましては、市社会福祉協議会から専門の相談支援員1名と、福祉課生活福祉係員3名が相談業務や支援業務を行っており、平成29年度からは、就労支援員1名を加えた5名体制で対応しており、人口規模や相談件数の実績からも十分な体制であると考えています。 また、イクボス等に関する取組につきましては、第2次南砺市総合計画の目指すべきまちの姿の一つである「未来に希望がもてるまち」の実現に向けた施策中、出産・子育てに理解のある社会づくりの中で取り組むこととしており、あわせて、「多様性を認める社会の構築」の関連事業として整理をしております。 なお、男女共同参画に関する事業につきましては、男女共同参画推進委員や関係する諸団体に関する活動であり、通常、行政として取り組むべき事業の一つとして、個別計画である南砺市男女共同参画推進プランで取り組む整理をしております。 同様に、女性管理職数につきましても、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定に基づく特定事業主行動計画において、管理職に占める女性の割合に関する目標値を定めていることから、同計画に基づき取り組む事項として整理をしているところでございます。 ○議長(向川静孝議員) 畠中議員。 ◆5番(畠中伸一議員) 「心豊かな暮らしができるまち」、商工業、農業にスポットを当てています。 農業については、10年後、高齢化した働き手に対して、危機感を持って臨まなければならないと考えていますが、具体的な事業に記載がありません。 営農組合は、定年延長から高齢化の波をまともにかぶっており、若者の姿が見当たりません。 中核農家は手いっぱいの状況に近づいており、営農組合の解散は平野部に耕作放棄地を生む可能性もささやかれています。 耕作放棄地は、散居村の美しい景観を損なうだけでなく、伸び放題の雑草による防火上の問題が心配されています。 南砺市の人口減少に伴う新たな、そして大きな課題として、農業者の高齢化問題を、個別計画でなく総合計画で取り上げるべきとの意見はなかったのでしょうか。ご説明願います。 ○議長(向川静孝議員) 柴担当部長。   〔柴 雅人市長政策部担当部長登壇〕 ◎市長政策部担当部長(柴雅人) 先ほど山田清志議員の一般質問でもお答えしましたとおり、南砺市を含む多くの地方農村地域では、農業者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加などで、地域農業の将来展望が描けない状況となっております。 農業分野での課題を含め、本市には多種多様な課題が山積していることは十分認識しており、それらの課題解決に向けて、行政が取り組むべき対応については当然行っていかなければなりませんが、それと同時に、市民の皆様が将来も住み続けたいと願う地域の実現に向けた取組も、行政が果たすべき大きな役割であると考えております。 そのため、第2次南砺市総合計画では、市民からのご意見やアイデアから紡いできた将来の南砺市像を達成するために、戦略的に取り組むべき施策については「南砺まちづくりプラン」において対応し、行政が基本的に対応しなければならない課題解決への取組については、各種個別計画で対応するものとして整理をしているところであります。 なお、総合計画審議会では、後継者の問題でありますとか地域の特産品の衰退への懸念、あるいは散居景観の保全などについても貴重なご意見を頂いたところであります。 そのため、農業分野に関し、地域の生業を守り育てるための課題解決に向けて基本的に行うべき事業については、農業経営基盤の強化の促進に関する基本構想や山村振興計画などといった各種個別計画で取り組むものとして整理をしております。 一方、第2次南砺市総合計画では、「若者が住みたくなる魅力づくり」を通じて、IJUターンにつなげようとする施策を推進するほか、「誰もが暮らしを楽しめる生活環境の充実」では、地元産品の市内での消費額を増やすこと、あるいは「地域の活力を支える産業の発展」では、稼げる農林業の育成を図り、市民所得の増加につながる取組を推進することとしております。 ○議長(向川静孝議員) 畠中議員。 ◆5番(畠中伸一議員) 10年後、20年後を見据えて、こんな南砺市にしたいというのは、そしてその思いは分かります。しかし、目前に迫っている危機を認識していなかったから、この危機から脱出できずにとどまってしまうのではないでしょうか。 目前にある危機に対処できる個別計画をさらに充実させていただきたいと申し上げ、質問を終わります。 ○議長(向川静孝議員) 10番、古軸裕一議員。   〔10番 古軸裕一議員登壇〕 ◆10番(古軸裕一議員) 自民クラブの古軸裕一です。 通告に従いまして、個別質問を一問一答方式でさせていただきます。 私のほうからは、第1点目、商業の振興策、そして2点目として企業誘致、3点目、南砺市の文化財について、以上3つについて質問をさせていただきます。 今年の冬は、かつて経験したことのない暖冬を迎え、大変心配されました「とやま・なんと国体2020」の開催は、関係者の熱い思いが通じて奇跡的に実現し、成功裏に終えられたことは、我々南砺市民にとってとても大きな喜びでありました。 しかし、今度は、世界が初めて経験する新型コロナウイルスによる感染症の拡大で、商工業をはじめ多くの企業に危機的なダメージがあるのではと心配をしております。 風評被害に右往左往することなく、正しい情報の下で、おびえることなく適切な行動を取っていきたいものであると感じております。そして、一刻も早いこの事態の終結を願うものであります。 先月、飲食店を営まれている方から、金沢にいる大学生の息子さんの進路について、「家の跡を継いでもらいたいが、現在のまちのにぎわいや将来を考えると、帰って来てとは言えない」というお話を伺いました。まさに身にしみるご意見で、責任の一端を感じ、この現実を強く受け止めております。このご意見は氷山の一角で、商店街の多くの方々が同じ思いで日々を過ごされているのではと感じております。 職種によっては、ネットの下支えによって生計を立てておられる方もいらっしゃると伺っております。 また、福野のホテルで働く方からも、庁舎が統合されることで客足が減ることへの不安を伺いました。若者がいなくなり、人口が減り、イベントや祭りが縮小され、今年の7月には庁舎も福光庁舎へ統合され、庁舎のない地域の活気は日に日に衰えていくことを考えると、飲食店や商店を中心としたお店は、生計が厳しくなることが必至で、そのことが人口減少につながり、まちのにぎわいがさらに衰えていく、まさに負のスパイラル現象に入っているように感じているのは私だけでしょうか。 このような将来に対する市民の不安な思いに対して、市としてはどのように向き合っていかれるのか、お伺いをいたします。 ○議長(向川静孝議員) 答弁を求めます。 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 議員ご指摘のとおり、商店のみならず、あらゆる産業界において、その後継者問題が顕在化していることは十分認識しているところでございます。 また、人口減少により、地域経済が縮小し、地域のにぎわいが失われ、さらなる人口減少を招くという悪循環についても、強い危機感を持っているところでございます。 このため、市では平成27年度に策定をいたしました南砺幸せなまちづくり創生総合戦略において、特に人口対策として、「しごとづくり」を施策の中心に置いた各種取組を重点的に進めてきており、クリエイター育成マッチング事業では、本市への移住者が総合戦略期間中に65人、また、伝統的工芸品後継者育成支援事業においても、13人の奨励金受給者中10人の方が本市への移住につながっております。 このように、総合戦略の取組により、市への移住者については県内でもトップレベルで増え始めているほか、ゲストハウスの整備など地域にあるストック資産を利活用し、さらに新たな起業につながる動きが出てくるなど、その成果は着実に出始めているものと捉えております。 こうした流れをさらに加速するため、令和2年度からスタートする第2次南砺市総合計画では、30年後のまちの将来像を明確化することで、市民、行政、地域社会が一体となって持続可能な地域社会を目指す、南砺まちづくりビジョンを取りまとめたところであり、本ビジョンの達成に向けた11の政策、35の施策からなる南砺まちづくりプランを着実に推進し、その成果を目に見える形で市民の皆様にお示しをすることにより、将来に対する不安感の払拭に努めていく必要があると考えております。 いずれにいたしましても、今回策定をいたしました第2次南砺市総合計画の趣旨を、市民の皆様に広く丁寧に周知を行い、共有を図りながら、この10年間、南砺市の総力をもって人口対策に取り組んでいくこととしております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 近年の商業・工業の統計調査によると、工業については従業者数、製造品出荷額ともに横ばい状態でありますが、商業については、平成16年の町村合併から10年間で従業者数、商品販売額とも30%以上の減少傾向であることが、大変危惧されるところでございます。 また、第2次南砺市総合計画に示されている重点改善項目でも、財政の健全化とともに、雇用の創出と確保や、商工業の振興と企業誘致が入っております。 しかし、第2次南砺市総合計画のまちづくりプランでは、政策として、「地域の活力を支える産業の発展」、そしてその施策は、既存産業の生産性向上への支援とあしたを切り開く後継者の育成、さらにその具体的な事業についても、起業家育成支援、クリエイティブ産業振興・発信事業、企業魅力発信事業とあり、力強い思い入れや目標とする具体性に欠けて、将来像を描けない、本当に現状を把握した取組なのか、心配をしております。 近年の著しい商業の衰退やその対策や、工業振興策について、第2次南砺市総合計画の10年間で具体的にどのように進めていく所存なのか、その目標値と計画について、もう一度お聞きします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。   〔芝井 広ブランド戦略部長登壇〕 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 総合計画における産業施策については、目指すべきまちの姿として掲げている「心豊かな暮らしができるまち」において、若者が住みたくなる魅力づくり、誰もが暮らしを楽しめる生活環境の充実、地域の活力を支える産業の発展をやるべきこととして位置づけ、現状と課題を洗い出した上で今後の方針を打ち出し、具体的な事業を進めていきます。 事業を進めるに当たっては、近年、これまで進めてきた施策により、魅力ある南砺が少しずつ認知され、ワイナリーやオーベルジュ、ゲストハウスといった域外からの投資が増えつつあります。この流れを止めることなく、次の段階であるビジネスをしっかりと根づかせる環境をつくっていくための目標値、行動計画等を定めて、毎年、南砺市中小企業・小規模事業者振興基本条例に基づく南砺市産業振興会議において、事業者ニーズに合っているか、目標が妥当であるかなどの審議を受け、常に改善を図りながら進めていきます。 商工業の振興は、財政の健全化を図る上でも大変重要だと考えており、産業振興策を強化して自治体を経営していくという意識で取り組んでいきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) いろいろな施策を考えていらっしゃいますけれども、市民の方が本当に実感できる、そんな形のものを示していっていただきたいなというふうに感じています。 平成27年9月に策定された南砺幸せなまちづくり創生総合戦略も、今年度が最終年度となっておりますが、この総合戦略は、第1次南砺市総合計画に掲げる施策の中から、とりわけ人口問題と地域経済縮小の克服について即効性の高いものを推進していくものとして、当初は約34億円の予算で、94事業を展開されてきました。 その中に、中小企業活性化、創造型産業構築として、南砺市版エコノミックガーデニングの構築によって新規雇用者数を100人、概算事業費9,550万円、クリエーターの集積による新たな魅力の創造として、クリエーター移住者数を100人、概算事業費4,500万円とすること。起業家支援センターをテレワーク事業の拠点とし、入居企業数を5年で8社、概算事業費1,800万円とすることや、情報活用スペシャリスト投入事業など、以上を合わせて約1億8,000万円の予算計上しておりました。これらの事業の実績や成果についてお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。
    ブランド戦略部長(芝井広) 企業立地奨励事業では、5年間で新設7社、増設13社の合計20社が新規雇用を伴う事業として実施されました。 成果指標は新規雇用者数で5年間で100人に対して、実績は、本年度の見込みも含めますと71人となっています。 クリエイタープラザ運営事業では、他市でのマッチング事例の紹介やクリエーターの招聘等のいろいろな誘致活動を実施しました。成果指標はクリエーターの移住者数で5年間で100人に対して、実績は、本年度の見込みも含めますと65人となっております。 テレワーク導入推進事業では、企業のニーズと合致するような制度の拡充を行いました。成果指標は起業家支援センターの入居企業者数で5年間で8社に対して、実績は、3社の入居となっております。 情報活用スペシャリスト投入事業では、応援市民の制度設計及び周知拡大などの地域課題の解決を図りました。成果指標は事業参加者数3人に対して、実績は、3人の参加となっております。 応援市民につきましては、1月末現在において771人となっており、本市は関係人口の先進地として広く認知されておると考えております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 新規起業家数では、100件に対して125件と目標を達成しておりますが、テレワーク事業、雇用創出やクリエーターの移住者数では目標数に達しておらず、そしてその実績値が必ずしも人口増やまちのにぎわいづくりにつながっていないようにも感じております。 目標値に達しなかった事業の今後の展開と、これからの事業成果が人口増やまちづくりのにぎわいにどれだけ貢献したのかをお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 雇用創出やクリエーターの移住といった産業振興の戦略目標が達成できないことは、議員ご指摘のとおりでございます。 今後の展開としましては、引き続き企業立地奨励事業のPRに努め、市内企業の設備投資に合わせた人材確保を支援するとともに、市内企業の魅力発信事業を通じて、市内企業の活動状況や魅力・技術力を多くの方に知ってもらい、市内企業の雇用創出・確保の支援に努めていきたいと考えております。 さらに、クリエーターの移住につきましては、クリエイタープラザを事業の核と位置づけ、南砺ブランド商品開発支援事業や商品掘り起こし&ブラッシュアップ事業者訪問などにより、南砺の商品の魅力を引き上げていきたいと考えております。 また、新規起業家数では、飲食店や美容業等を営む女性起業家も増加していることもあり、目標を達成していることから、引き続き起業家育成等の事業を継続し、地域に新たな起業家を迎えることで、事業主の高齢化が進む中で地域経済の構造的な新陳代謝を図り、商店街の活性化とまちのにぎわいづくりにつなげていきたいと考えております。 南砺市には、五箇山合掌集落の世界遺産など観光資源が豊富にあり、この5年間で、民泊業で7件、飲食業で27件の新規開業がありました。さらに、クリエーターによるデザイン力を生かしてパッケージの更新を図る事業者も、今年度に6件の申請がありました。 これらの事業成果は、地域経済への刺激となり、まちのにぎわいにつながり、新たな経済の流れを生み出してきています。 ついては、今後も地域経済が持続可能な状態となるよう、市商工会等の関係団体と連携を深めながら、民間活力を支援する事業を展開していきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 今後もしっかりと継続してやっていっていただけるということでございますので、しっかりとまたよろしくお願いをしたいと思います。 今年の3月14日には、北陸新幹線が開業して5周年を迎え、首都圏への移動についてストレスなく行き来できる環境が、多くの方に定着しつつあります。 また、一昨年の7月には、東海北陸自動車道が開通して10周年を迎えましたが、10年で富山、愛知、岐阜の沿線3県にもたらした経済波及効果は3兆7,000億円に上り、うち富山は1兆4,000億円だったと新聞に報じられておりました。 その中でも、大規模災害に備えたリスク分散の観点から、東海地方に本社を置く複数の企業が小矢部フロンティアパークに進出したため、団地周辺の製造業の従業員数は1.5倍になったそうです。 現在は、東海北陸自動車道の付加車線工事が進められ、今後は4車線化に向けての動きも加速していくものと思われますが、あわせて待望の(仮称)桜ヶ池スマートインターチェンジの開設についても、令和5年度末を目途に動き出しております。 このような環境の中で、近隣市と連携して企業誘致に向けて力を注いでいくことが、この地域の明るい将来を築く上で重要と考えますが、見解をお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 議員ご指摘のとおり、北陸新幹線や東海北陸自動車道の波及効果は、沿線地域の産業、経済、文化観光などの発展と振興に大きく寄与しています。 東海北陸自動車道での10年間の経済波及効果は、愛知県、岐阜県、富山県の沿線県だけで見ても、約3.7兆円に達し、3県の経済成長の年平均0.8%の底上げや沿線地域の観光入込数の増加、訪日外国人観光客の増加、東海北陸地方間の物流・輸送に貢献しているとお聞きしております。 しかし、富山県の昨年12月の有効求人倍率は1.86倍で全国第7位と、有効求人倍率が依然高い状況が続き、労働力不足が顕著な状況を示しております。市内企業は人材確保に苦慮しており、新規参入においても人材確保に困難を要すると推測されております。 そのような状況の中で、近隣市との連携は非常に重要と考えております。市では、呉西圏域ビジネス交流交歓会において、自然災害に強い立地特性や高速道路などの交通インフラによる利便性などの南砺市の強みをPRしております。 また、近隣市と連携した、とやま呉西圏域合同企業説明会・合同就職面接会を開催し、市では企業紹介・就活支援ホームページ「なんとジョブ」を運営して、住みやすく働きやすい環境や企業情報及び魅力を情報発信して、人材確保に努めております。 なお一層、企業や就職希望者に南砺市の魅力や環境の良さをPRするとともに、高岡市のICパークや小矢部市のフロンティアパークなどの近隣市工業団地の状況を注視し、県や近隣市と連携して企業誘致に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 先ほどは飲食店や商店街のにぎわいの話をさせていただきましたが、企業が来て、人が集まることによってにぎわいが生まれ、まちに活気が生まれます。 地元の企業はもちろん大切でありますが、多くの若者が首都圏へ流れることを踏まえ、近隣市や地元で就職し、故郷に帰ってもらえる環境づくりが大切であります。 今、この地域は災害も少なく、交通の便も日に日に改善されて、首都圏との往来もストレスなく行ける環境であることを発信し、企業誘致を進めるべきと考えます。 まずは、市長が先頭に立ち、地元ゆかりの企業から積極的に本社機能の移転などを勧めていただくことをお願いしたいのですが、現在の取組についてお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 議員ご指摘のとおり、総務省が公表した2019年の人口移動報告によりますと、首都圏の埼玉、千葉、東京、神奈川は転入者が転出者を14万8,783人上回る転入超過であり、首都圏への一極集中が加速していると報告されています。 南砺市においても、人口対策は喫緊の課題となっております。UIJターン希望者や新規就職希望者には、県主催の合同企業説明会や、とやま呉西圏域合同説明会・合同就職面接会があります。市として積極的に参加して、市内企業への就職者が増えるように努めてまいります。 市単独事業としては、企業紹介・就活支援ホームページ「なんとジョブ」を運営しており、市内企業情報や魅力及び住みやすく働きやすい環境のPRを行っています。 また、移住希望者に対しては、移住体験ツアーなどで就業や移住のマッチング支援を行っております。 企業誘致活動として、先ほど述べました呉西圏域ビジネス交流交歓会や企業との面談及び商工会開催行事などでは、直接企業や担当者に南砺市企業のものづくり技術や南砺市の立地条件の良さを、参加企業延べ231社に対して充実した企業立地助成金などについてPRを行っております。 このような機会を通じて、県内・南砺市ゆかりの企業関係者及び同郷会関係者などの有志の方々と積極的に面談し、意見交換することにより企業のニーズの把握に努めてまいります。 本社機能の移転などの実績は、平成23年にコマツNTC株式会社が本社を東京都品川区から南砺市へ移転しているほか、株式会社ピーエーワークスが桜ヶ池周辺に社屋を移転しています。一層の本社機能の移転などの企業誘致が実現できるように努めてまいります。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 答弁で転入超過、国が14万8,000人の転入超過ということでございます。 国の政策としても、令和2年度税制改正大綱では、企業が本社機能を東京23区から地方へ移転または地方の本社機能を強化した場合の地方拠点強化税制を拡充することが盛り込まれておりますので、ぜひこの機会を利用して実現をしていただきたいと考えております。 次に、南砺市の文化財についてお伺いいたします。 今回の定例会に第2次南砺市総合計画の素案が示され、その将来像として「誰ひとり取り残さない 誰もが笑顔で暮らし続けられるまちへ」とされました。 現在、SDGsに取り組む当市にとって「誰ひとり取り残さない」というフレーズがはまったものと考えますが、南砺市のブランドを考えた場合、個人的には刺さらないフレーズであると感じております。 しかし、県内で一番多くの文化財を有し、世界遺産、ユネスコ無形文化遺産、日本遺産、世界の棟方とのつながりなど、その文化的価値を挙げれば、どこの自治体と比較しても圧倒する力を秘めた南砺市の可能性を根底に、第2次南砺市総合計画が進められることに期待を申し上げたいと感じております。 文化財については、平成29年の9月定例会でるる質問させていただき、昨年の11月には井口地域の赤祖父円筒分水槽が魚津の東山円筒分水槽とともに、国登録有形文化財として登録するよう文部科学大臣に答申され、来年度には登録される予定と伺っております。働きかけを進められた関係者の皆様のご尽力のたまものと受け止めております。 今後は、さらにその活用と保存に向けた取組をお願いをいたします。 現在は、城端の曳山会館裏にある土蔵群においても国登録有形文化財としての準備をいただいていると伺っておりますが、そのほかに、「とやま近代歴史遺産」に紹介されているものを含め、その価値を認め、国登録文化財として調査あるいは準備を進めている案件についてお尋ねいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 国登録有形文化財は、建築から50年以上経過し、地域にとって重要な建物や時代の特色をよく示す建物、及び再び造ることができない建物の保護を図る制度です。 現在、市内にある国登録有形文化財は、赤祖父の円筒分水槽を含め21件です。 市が登録に向け準備中の案件は2件あります。具体的には、城端曳山会館の蔵回廊、井波西別院柳汀閣です。蔵回廊については、平成29年に文化庁の現地視察により登録に値すると評価され、令和2年度に国への意見具申を予定しています。 また、現在候補に挙がっている案件以外についても調査を定期的に行い、その保護に努めてまいります。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 文化財は、その歴史的価値を認めることで後世へと受け継ぐことができるのであり、また、その歴史的価値を示すことによって、市民の誇りや子供たちへの地域を愛する郷土愛の芽生えにつながっていくものと考えます。 第2次南砺市総合計画の南砺まちづくりビジョンの一つに「皆で考えともに行動するまち」の目標に「シビックプライドの醸成」とありますが、自然はもとより、歴史や文化に裏打ちされた南砺市に生まれ、自分たちのまちに誇りを持って暮らしていただくことが大切と考えます。 市民アンケートでは、文化財の保全・活用と伝統文化の継承に対する重要度が低く示されており、シビックプライドの醸成とともに、ふるさと教育などを通して文化財への認識をもっと深めていく取組に期待をしますが、その取組についてお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 文化財を学ぶことからシビックプライドの醸成を図る取組については、近年、全国的に盛んになっています。 平成30年に井波地域を中心とした「宮大工の鑿一丁から生まれた木彫刻美術館・井波」が日本遺産に認定されましたが、この取組の中で小・中学生へのふるさと教育を実施し、国から評価いただいているところです。 五箇山の合掌造り集落に関しては、市内各小学校の高学年にパンフレットを毎年配布しています。簡易な説明で、親しみの持てるイラストを掲載し、合掌造り集落及び家屋について楽しく学べるよう取り計らっています。 このうち、上平小学校においては、ふるさと教育の一環として合掌造り集落を訪問し、住民との対話の機会を持ち、また、文化・世界遺産課の職員を講師に招き、合掌造り集落について講義を受けるなど、より深く学ぶ機会を毎年設けています。 井波地域の高瀬遺跡内にある埋蔵文化財センターでは、市内遺産から出土した土器などの展示や、火起こしなどの体験学習から先人の暮らしぶりを学ぶことができます。 城端曳山会館では、曳山本体のみやびな装飾を間近に目にすることができ、祭の一端に触れることができます。各館とも、子供たちが訪れ、地域の歴史を学んでいます。 南砺市の未来を担う子供たちが、南砺市に愛着・誇りを持ち、自らが地域・郷土を守っていく気概を醸成できるよう、文化財への理解を深めることの一助となるように、今後とも努めていきます。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 小さいときに知らず知らずに身につけたことは、生涯ずうっと自分の宝となって残っていきますので、そういったようなふるさと教育、ぜひとも大切に育てていただきたいなというふうに思っております。 文化庁の指針では、過疎化、少子高齢化などの社会状況の変化を背景に、各地域の貴重な文化財の滅失、散逸などの防止が喫緊の課題となる中、未指定を含めた有形・無形の文化財をまちづくりに生かしつつ、文化財継承の担い手を確保し、地域社会総がかりでの取組体制の必要性から、平成30年の文化財保護法の改正により、都道府県による文化財保存活用大綱の策定、市町村が作成する文化財保存活用地域計画及び国指定等文化財の所有者などが作成する文化財活用計画の文化庁長官による認定、市町村による文化財保存活用支援団体の指定が制度化されました。 このことにより、文化財の専門家のみならず、多様な関係者が参画した地域社会総がかりによる、文化財の次世代に向けた継承の取組が促進されるものと期待をしております。 富山県においても文化財保存活用大綱の策定に向けて準備をされていると伺っておりますが、当市においても文化財保存活用地域計画の策定が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 南砺市の文化財は、国・県・市の指定や登録になっているものが263件あります。富山県内でも最も多いわけでありまして、また、市内各地域には、指定の有無にかかわらず、多種多様な文化財が数多く受け継がれ、それらを系統立てて、計画的に保存管理していくことが喫緊の課題でございます。 富山県におきましては、令和2年度中に文化財保存活用大綱を策定されるとお聞きしております。県内市町村はこの大綱を勘案し、文化財保存活用地域計画策定へ取組を進めるよう、富山県で推奨しております。 南砺市におきましても、国・県の指導を仰ぎながら、計画策定へ向けて準備を行い、順次取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 県の大綱ができないと前へ進まないところもありますが、もう一つ、支援団体のことについてお聞きをさせていただきます。 南砺市においては、ユネスコの世界遺産や無形文化遺産をはじめ国指定・選定の有形・無形文化財や、日本遺産、国登録文化財など様々な、他の自治体を圧倒する文化財を有しております。 文化財保存活用計画の策定により、民間団体を文化財保存活用支援団体としての指定が可能となり、民間も含めた地域一体での文化財継承への取組が進むものと考えますが、文化財保存活用支援団体に対する見解をお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 文化財保存活用支援団体、文化財に関する各種施策を推進する上での市町村のパートナーということになります。民間団体でございますが、市町村が支援団体を指定し、連携協力をしながら、文化財の保存活用、調査研究や文化財の管理などを行うことが可能になります。 指定する支援団体には、文化財に関する専門的知見や保存活用の実績があり、定款や事業計画を持つ社団法人、財団法人、NPO法人、民間企業が想定されます。また、指定文化財となっている各種祭り行事の保存会、協議会なども考えられるわけであります。 支援団体の指定には、文化財保存活用地域計画の策定が前提となりますので、南砺市といたしましては、まずは文化財保存活用地域計画の策定に取り組み、その策定の取組の中で連携が可能な文化財保存活用支援団体の候補の選定から始めていきたいと、このように考えております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 次に、城端別院善徳寺についてお伺いいたします。 城端別院善徳寺は、建造物の本堂や山門など4棟をはじめ、工芸品は絵画や彫刻、漆器など190点が富山県の有形文化財に指定されており、市の文化財も数多く有しております。 また、江戸時代、北陸地域内の寺院の統制を行う触れ頭として、城端の善徳寺、井波の瑞泉寺、金沢の専光寺の三か寺がありましたが、専光寺は移転し瑞泉寺は火災に遭い、残った善徳寺には膨大な古文書9,309点が残りました。 善徳寺に残された古文書の解読は、浄土真宗の歴史にとどまらず、加賀藩との深い関係や、近世・近代における砺波地方の文化と歴史を解き明かす貴重な鍵になると言われております。 また、古文書調査が順調に進展し、広く情報発信されることは、貴重な文化遺産が後世に保存継承されるとともに、地域文化の魅力をさらに全国へ発信させる機会ともなります。 現在、地元でNPO法人を設立し、その取組の準備も進めておられますが、文化庁や県への支援要請を含め、市の支援体制の在り方についてお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 城端別院善徳寺には、昭和54年、55年に富山県教育委員会によって行われました緊急古文書調査で明らかになった、親鸞上人や蓮如上人直筆と伝えられる書跡をはじめ、膨大な古文書が残っております。 そのうち9,309点の古文書は、昭和58年に県の文化財に指定されておりますが、このほかにも、指定されていない未整理の古文書が約2,100点あります。 古文書所有者の善徳寺は、保存調査を実施するNPO法人と協力をして、これらの貴重な古文書を次世代に確実に継承させるため、古文書のデジタル化を中心とした調査事業を開始すると伺っております。 県、また国への調査の要望も、市も相談を受けながら一緒に進めてきております。 南砺市といたしましても、この事業にももちろん県とともに、補助金をはじめとする支援を行い、善徳寺の文化財価値を高める努力を共に行っていきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 順次進めていっていただきたいんですが、国・県の追随型ではなく、市が牽引するような、そんな気持ちで進めていっていただきたいなというふうに感じています。 城端別院の古文書調査につきましては、文化庁、県、町による古文書緊急調査事業により、先ほど市長からもお話がありましたが、昭和54年度から55年度にかけて実施され、国宝の対象となる時代より後のものであることが判明しましたが、民営運動の父とも呼ばれる柳宗悦氏が絶賛した「三帖色紙和讃」においては、時代背景からも十分国宝としての価値があるものと推察されます。その可能性と現在の取組についてお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 城端別院善徳寺所有の「三帖色紙和讃」、私も何度か見たことがありますが、本当にきれいで、このことについては国宝になればいいなと、私も個人的には思っております。 天文22年(1553年)年に刊行されたということでありますが、金箔や銀箔を散らした美しい色紙に刷られており、民芸運動の祖柳宗悦氏が、その装飾美をたたえた、大変貴重なものだということをお聞きしております。 「三帖色紙和讃」は、貴重な文化財価値が認められ、善徳寺古文書9,309点の一部として、県の文化財に指定をされております。 善徳寺では、県指定古文書や未指定文書のデジタル化を中心とした、解読などの詳細調査を予定しています。「三帖色紙和讃」も調査対象に含まれておりますが、南砺市として、この調査には、先ほど申し上げましたが、補助金をはじめ協力をしていきたいと、このように思っております。 古文書調査により、改めて文化財的・歴史的な価値が判明すると考えており、正確な情報を得ることのできる調査結果を踏まえて、さらなる文化財としての保護活用に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 古軸議員。 ◆10番(古軸裕一議員) 「三帖色紙和讃」については、日本を代表する思想家柳宗悦さんが国宝級と絶賛をして、収集者方に広く知らしめていることから、間違いなく国宝級のものと考えられます。 文化庁から国宝の評価を頂くようしっかりと進めていただくことをお願いを申し上げまして、私からの質問を終わります。 ○議長(向川静孝議員) 暫時休憩をいたします。 午後2時25分から会議を再開いたします。 △休憩 午後 2時14分------------- △再開 午後 2時25分 ○議長(向川静孝議員) 会議を再開いたします。 各議員による市政一般に対する質問並びに提出議案に対する質疑を継続いたします。 14番、長井久美子議員。   〔14番 長井久美子議員登壇〕 ◆14番(長井久美子議員) 自民クラブの長井久美子です。 通告に従いまして、個別質問を一問一答方式で、3つのことについて質問させていただきます。 最初に、1番目としまして、国の有形登録文化財(建造物)として昨年答申された赤祖父円筒分水槽を生かした周辺の整備についてお伺いいたします。 井口川上中地内にある赤祖父円筒分水槽は、昨年の11月15日、国の文化審議会で有形登録文化財に登録するよう答申されました。 県内では、魚津市の東山円筒分水槽とともに選ばれたものであります。 1949年(昭和24年)に築かれたもので、富山県では一番古く、小さいですけれども、ため池の水がサイホンの原理で湧き上がり、3方向へ均等に流れ出す仕組みで、赤祖父のため池工事の一環として築かれた結果、いわゆる水争いの解消となって、地域における戦後の稲作を支え、以来ずうっと下流の田んぼを潤し、稲作に貢献しているところであります。 こんこんと流れ落ちる様子は、付近の木々の移ろいと相まって、四季折々の感動的な風景を醸し出す、癒やしの空間であります。 そこで、分水槽へのアクセスを整え、観光地としての位置づけを図る計画はどうでしょうか、見解をお聞かせください。 ○議長(向川静孝議員) 答弁を求めます。 芝井ブランド戦略部長。   〔芝井 広ブランド戦略部長登壇〕 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 円筒分水槽は、富山県内の4市町に5施設あります。このうち、井口地域にあります赤祖父円筒分水槽は、71年前の昭和24年に、赤祖父ため池工事の一環として建築された県内最古の円筒分水槽です。 水槽の直径は約3.5メートルで県内最小であり、県内の他の水槽から見ると素朴なたたずまいではありますが、その躯体に水が満ち流れ出す様子は非常に美しく、見る人の目を楽しませてくれています。 この円筒分水槽は、南砺市を舞台としたオリジナルショートアニメーション「恋旅~True Tours Nanto~」の福光・井口・城端編の中でも描かれ、強い印象を残しています。 アニメーションと連動し、現地ではキャラクターによる観光案内を聞くことができるだけでなく、キャラクターとの記念写真を楽しませるスポットとして、好評を博しています。 現在は、有名観光地としてではなく、知る人ぞ知るポイントとなっており、そのたたずまいを守っています。広く市内外の方が訪れることができるよう、観光関連マップなどに場所の記載を行うほか、管理機関と協議連携し、環境整備について進めていきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 長井議員。 ◆14番(長井久美子議員) 本当にあそこに立ちますと、飽かずに眺めていたい気持ちになります。 そこで、あそこの周辺なんですけれども、足元がちょっと悪いように思います。その危険防止のため、いわゆる転落防止の対策を何か講じて、そして小公園とするような考えがありませんでしょうか、お考えをお聞かせください。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 赤祖父円筒分水槽の所有者は、庄川上流用水土地改良区です。分水槽の近くには、昨年の登録以前に既に説明板が設置されており、その由来、分水の仕組みについて説明されています。 通常、史跡など屋外所在の文化財を指定した場合、その保護のために囲い柵などを設置しております。ただし、この円筒分水槽の場合は、水槽の際の外縁部が浅く危険性が低いこと、直径が小さいことから、囲い柵の設置によりその素朴で美しい景観が損なわれるおそれがあります。 とはいえ、見学者の安全確保も必要な対策であることや、農業用水として使用しているため管理が必要なことなどから、土地所有者及び関係機関との協議を行い、周辺の環境整備を含め対応していきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 長井議員。 ◆14番(長井久美子議員) それで、歴史的に、先人が水田耕作のため、いかにして田に水を引き、そして県下でも有数の穀倉地帯形成への原動力となった円筒分水槽の役割など、学校教育や生涯学習のツールとして利用できると考えるんですが、当局のお考えをお聞かせください。 ○議長(向川静孝議員) 村上教育部長。   〔村上紀道教育部長登壇〕 ◎教育部長(村上紀道) 赤祖父円筒分水槽は、地域の文化遺産に位置づけられていることから、これまでも生涯教育の分野において、南砺市民大学講座の現地研修で学習材料の一つとして活用されております。 小学校では、令和2年度からの新学習指導要領に準拠した小学4年生社会科の単元「昔から今へと続くまちづくり」の中にあります「どうやって水を引いたか」などで、現地教材として有効に活用できるよう準備を進めております。 また、市教育センターでは、令和2年度の市内教職員向けの研修の中で、ふるさと学習研修会を計画しております。井口地域の歴史文化施設である円筒分水槽の見学も予定をしております。 児童・生徒のふるさと学習では、各学校の校区内だけでなく、市内全域にある文化遺産などの理解を深めることを積極的に推進していることから、多くの小・中学校のふるさと学習で活用するよう、今後働きかけていきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 長井議員。 ◆14番(長井久美子議員) それでは次に、南砺ユネスコ協会が平成24年に、「南砺市の3大偉人伝」を著わされました。稲塚権次郎さんと松村謙三先生、そして「近代建築の巨人」と称される吉田鉄郎さんであります。 その足跡の保存についてお尋ねをいたします。 まず、南砺市内に現存する足跡の保存についてであります。 元詩百篇酒造株式会社の創業者の家族の住まいの一部や、それから吉田鉄郎さんの生家の--お生まれになった家の一部がまだまちの中に町屋として残っておりますし、それから私立の授眼図書館として、後に町立の授眼図書館となったんですけれども、図書館として使われている建物があります。それで、その図書館は多くの町民に親しまれ、私ども子供の頃は図書館に通いました。そんな建物などの保存の方法がないか、お尋ねをいたします。 いろいろ図面を引く仕事をされたんですけれども、形になって残っているものは、形のあるものはそのままございますので、何か方法がないか、お尋ねをいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 南砺の偉人吉田鉄郎氏は、福野地域出身でございます。近代建築の巨匠として、その名前が知れ渡っております。 吉田氏が設計した代表作には、東京駅丸の内南口そばの東京中央郵便局がございます。現在、一部を保存・再生した複合ビルとして利用されております。 吉田氏が設計した建造物は現在、市内に3棟、今、議員おっしゃったとおりでございまして、3棟あります。このうち2棟については、個人所有で居住中であるため、原則非公開となっております。残りの1棟につきましては、昨年、県外在住の所有者の方より、建物の保存活用について相談を受けております。 相談対応した旧詩百篇酒造の敷地内に残る洋風建築は、約90年前の昭和4年に建設されました。有識者、地元団体、南砺市職員数名で昨年現地を訪れ、所有者案内の下、建物の保存状況を確認しております。 保存状況は良好で、その内部に施された意匠はすばらしく、また、同行した有識者の評価も高いことから、文化財としての指定、登録の可能性は非常に高いと考えております。汎用の面の面においては、多岐にわたる可能性も感じさせました。 今後は、建物の所有者の意向を聞き、指定もしくは登録に向けての資料収集等調査を実施し、建物の評価を行い、所有者、地元団体とも連携を図りながら、その維持管理における技術的な支援、活用におけるアイデア出しなど、よりよい方法で保存活用に努めていきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 長井議員。 ◆14番(長井久美子議員) 詳しくありがとうございます。 それで、福野高校の巖浄閣にもゆかりの作品としまして、福野農学校時代の様子を、俯瞰図といいますか、上から見た形のものが残っておりまして、それはいつでも見れる状況になっております。 それも加えた、何かまちづくりといいますか、周遊するような、そういうことも考えてはいかがかと思うんですが、見解をお尋ねいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 吉田鉄郎氏は、現在、国指定重要文化財となっている旧富山県立農学校本館、いわゆる巖浄閣でございますが、その鳥瞰図を学生時代に作成しており、その図面の緻密さ、正確さは、文化庁国立近現代建築資料館でも展示されて、紹介されております。広く知れ渡っているということでございます。 モダニズムの傑作と言われる東京中央郵便局をはじめとして、設計に携わった建築物は、いずれにおいても壁や窓の細部にまでこだわりが感じられ、建築を学ぶ学生などのファンが数多く存在していると伺っております。 今もなおその魅力を失わない建築物が福野地域に現存することから、公開可能な建物は、多くの人が利用可能な場として、もしくはふるさと教育の場として、様々な活用の在り方があると思っております。所有者の意向を聞いて、そして現在、地元でも若い人たちがいろいろと調査も、協力もしたいというふうに聞いておりますので、様々な地元の団体の皆さんと連携を密にしながら、まちづくりにどう生かしていくか、取り組んでいくかということも含めて考えていきたいと思います。 ○議長(向川静孝議員) 長井議員。 ◆14番(長井久美子議員) 先ほど市長からも答えていただけましたけれども、吉田氏が手がけられた建物が首都圏にもたくさんありますし、全国各地にあるわけなんですけれども、それをツールにして市のPRに使う方策がないかということを思うんですが、どのようでしょうか。 例えば、先ほどおっしゃいました、今、KITTEに残されている東京中央郵便局、あるいは岩瀬の富山大学のもとを造られました馬場家牛込邸にもあると。いろいろ本当にたくさんのことを手がけておられますので、その面からも南砺のPRになるんじゃないかというふうに思います。 最近、2,000点にも及ぶ吉田氏に関する資料が友人から寄附されて、それが今先ほどおっしゃいました国立近現代建築資料館で展覧会が開催されておりまして、行きたかったんですけれども、ちょっとなかなか機会が得られませんでしたけれども、現物が見られる間に、紙じゃなくて、本当にもらえる間に何かなればというふうに考えるものであります。ぜひまた工夫して、お願いいたします。 それでは、3番目に、企業支援についてお尋ねいたします。 まず1つ目は、とやま企業立地セミナーの開催による効果はいかがでしょうか、お尋ねいたします。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。   〔芝井 広ブランド戦略部長登壇〕 ◎ブランド戦略部長(芝井広) とやま企業立地セミナーにつきましては、富山県が毎年、東京、大阪、名古屋の3大都市圏で開催している企業誘致事業であり、今年度は8月2日に名古屋市中区、10月21日に東京都千代田区で開催されました。 南砺市も東京、名古屋会場にてPRブースを出展させていただき、南砺市の産業や立地環境のよさ、活用しやすい支援制度などをPRしてきています。 製造業を中心に、金融機関、建設業などの企業の方々について、名古屋会場では61社102名、東京会場では89社150名の参加があり、参加企業関係者に情報の収集と提供を行い、南砺市の意気込みをPRしております。 また、現在のところ新たな企業進出の動きはありませんが、本事業に参加することで多くの方々に南砺市の立地環境をPRしてきていると認識しております。 今後も県と連携し、都市圏での企業誘致活動に努めていきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 長井議員。 ◆14番(長井久美子議員) それでは、あとビジネス交流交歓会、これは多分呉西圏域で主催しておられるかも分かりませんけれども、この交歓会もありますが、これでの効果はいかがでしょうか。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) ビジネス交流交歓会につきましては、とやま呉西圏域連携事業の一環として、呉西6市が連携し企業誘致活動を行っております。 また、圏域内企業と都市圏企業が交流されることで、新たな企業間取引が生まれ、新産業の創出や圏域内企業の活動が活発になることを期待しているものでございます。 今年8月9日に東京都新宿区にて、セミナー形式の講演会と交流会を開催しております。交流会には、77社4団体、187名の参加をいただき、6市長による各市のPRや6市ブース、富山県ブースを展示し、各市の産業や企業立地支援制度などのPRを行っています。 参加された企業の中から、当市の企業立地支援制度の内容や工場適地の情報提供の依頼が数件あったところでございます。 現在のところ、具体的な企業進出の動きはございませんが、呉西6市が連携して取り組むことによるスケールメリットを生かし、多くの方に南砺市の立地環境のよさや企業立地支援メニューのPRができていると認識しております。 ○議長(向川静孝議員) 長井議員。 ◆14番(長井久美子議員) いろいろいいとこまでいっているのかなというわけでありますし、今、新型ウイルス、そしてまた何か頓挫しそうな気もするんですけれども。 最後になりますが、慢性的な労働力不足を皆さん言っておられます。その不足を打破するために、企業の選考テスト、例えば就職試験なんですが、これを3大都市圏に出かけていって、そこで試験をするという、そんなのを合同で実施してはどうかという、言っておられる方がありまして、新規学卒者の採用は、企業にとってはもう重大事項で、1人でも欲しいんだけれども、富山へ来て試験を受けるとなりますと、交通費もかかったり、なかなかやっぱりその先に、せどりじゃありませんけれども、途中で引き上げられてしまうということを言っておられますが、受験生の交通費もかからないほうが有利じゃないかというふうに思いまして、市の後押しという、ブランドイメージもプラスするんじゃないかと思いますし、その効果を考えて、何か新しいそういうことをやってみようかということについて見解をお聞かせください。 ○議長(向川静孝議員) 芝井ブランド戦略部長。 ◎ブランド戦略部長(芝井広) 議員ご指摘のとおり、新卒学生の採用は企業にとって重大な事項であり、市としましても、市内企業の採用活動に対する支援は最重要課題であると認識しております。 しかし、少子化による学生の絶対数の減少や、大手企業への就職志向の高まりなどにより、市内企業の新卒学生の採用は大変苦戦している状況であると聞いております。 そのような課題に対応するため、今年度、求人活動支援事業補助金の創設や、新型コロナウイルスの影響により中止となりましたが、南砺市企業見学バスツアーを通じ、市内企業と学生とのマッチングの機会を増やし、学生の目を南砺市へ向けてもらえるような取組を進めているところでございます。 また、議員ご提案の三大都市圏での合同選考テストの開催につきましては、個々の企業の思惑もあり、少し難しいのではないかと今現在考えております。 まずは、市内企業の合同企業説明会というような形で、企業のニーズや学生の動向、他の自治体の実施状況などを参考に、今後、開催の可否を検討していきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 長井議員。 ◆14番(長井久美子議員) いろんなことをやってみて、そしてこれがよかったというのができればなというふうに思います。なかなか、それこそあり余るほど人手が、私の昔のようにたくさんの学卒者がいた頃と違って、今は少ない人ですので。でも、それをどうやって南砺市の魅力を分かってもらうかがとても大変だと思います。重要なことだと思います。 それで、みんなで心一つにしてやっていくという、その姿勢が必要だというふうに思います。 今日はこれで終わります。ありがとうございます。 ○議長(向川静孝議員) 13番、山本勝徳議員。   〔13番 山本勝徳議員登壇〕 ◆13番(山本勝徳議員) 会派自民クラブの山本です。 本3月定例会一般質問における初日最後の質問者となりました。 私からは、本市の財政に関する問題について、一問一答方式により幾つか質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。 政府は、「経済再生なくして財政健全化なし」の基本方針の下、デフレ脱却・経済再生と財政健全化に一体的に取り組み、名目GDP600兆円経済と2025年度の財政健全化目標、いわゆるプライマリーバランスでありますが、これの達成を目指し、成長と分配の好循環の拡大に向け取組を進めております。 このような中、令和2年度の国の一般会計予算案の規模は102兆6,580億円、前年度比1.2%の増、また、富山県の令和2年度一般会計当初予算案の規模も5,712憶1,000万円、前年度比2.9%増で、伸び率はこの10年間で最も大きくなっています。 一方、我が南砺市の令和2年度一般会計当初予算案の規模は325億5,000万円、前年度比1.5%減となったところであります。 合併してから16年目に入り、南砺市は、人口減少等による影響に加え、合併による国の手厚い財政特例措置がいよいよこの3月、令和元年度をもって終了するという段階に至り、令和2年度からは、財政運営面において新たなステージを迎えようとしております。 具体的には、1つは、合併算定替であり、これは合併促進のために認められた大きな財政の優遇措置の一つで、本来、合併後に1つの合併市町村として算定されればいいという普通交付税を、合併後も旧市町村が存在しておるという前提で、旧市町村ごとに算定をいたしまして、その合算額--合計額を普通交付税として一定期間認めるという制度でありました。 優遇措置、合併算定替については、合併11年目から5年間で段階的に縮減をされ、16年目となる令和2年度からは本来の算定、一本算定となるのであります。 本市における合併算定替による交付税増加額は、約39億円にも上り、一般財源でありますから大変ありがたい、予算面で財源の確保に大きな役割を果たしてまいりました。 ちなみに、この一般財源に特定財源を加えると、2倍から3倍の事業が行えるということになるのであります。 また、もう一つの合併財政特例は、ご案内のとおり、合併に伴い必要となる事業に充てることができる有利な地方債、合併特例債でありました。 本市は、15年間で320億円の発行資格があり、今年度、令和元年度が発行の最終年度でありまして、発行限度額に達する見込みであります。これも、毎年、元利償還金の7割を普通交付税でみてもらえるという大変ありがたい財源であり、まちづくりの推進に大きな役割を果たしてまいりました。 このような合併算定替と、そして合併特例債という、南砺市発足以来の財政特例措置がなくなってしまう新年度、令和2年度からの財政運営がどうなるのか、将来の持続可能な財政運営が可能であるのかなど、市民の皆様の関心も高いと思いますので、財政の見える化ということが求められております中、市民の皆様にしっかりと今後の財政の見通しについて説明する必要があります。 そこで、平成の合併により、市町村の面積が大きく拡大するなど、市町村の姿が大きく変化をしたことを踏まえまして、合併した時点においては、想定されていなかった財政需要--財政ニーズ--を、本市や合併市町村からの強い要望によって普通交付税の算定に反映されることになったのでありました。これは、本当にありがたいことでありました。 具体的には、平成26年度の地域振興費に支所に要する経費として--これは全国でありますけれども--3,400億円の加算が行われ、さらに平成27年度から30年度までに毎年、算定の見直しが行われ加算が行われまして、消防費、保健衛生費、社会福祉費、その他教育費、その他土木費、農業行政費などの費目に標準団体の経費の見直しや密度補正など、これは3,300億円が加算をされまして、5年間で合計6,700億円が、合併後の市町村の姿が変わったことを踏まえて、合併市町村の姿・実態を反映した毎年加算が行われてきているのであります。 合併算定替により一本算定に上乗せされた交付税増額分の合計額、これは全国で9,300億円というふうに承知をしておりますが、それで交付税の算定の見直しにより、先ほど述べた増えた分、合計6,700億円はその9,300億円に対して72%相当に当たります。 このことから、南砺市の合併算定替増額分の約7割は令和2年度以降の普通交付税算定上、確保されることになると考えてよいのかどうか、まずお尋ねをいたします。 ○議長(向川静孝議員) 答弁を求めます。 上口市長政策部長。   〔上口長博市長政策部長登壇〕 ◎市長政策部長(上口長博) 議員ご指摘のとおり、平成の大合併において、合併後のそれぞれの市町村の面積等が大きく変化した姿を踏まえ、国においては財政需要の見直しを図り、平成25年度ベースでの普通交付税の算定替えによる上乗せ分の約7割に相当する6,700億円を、平成26年度から30年度までの5年間、毎年見直し加算により措置されてきました。 このことは、全国の対象となる合併市町村に対する全体予算額でありますので、それぞれの市町村の状況によって多少の差はあるものと思われますが、南砺市にもおおむね同程度の割合が措置されてきていたものであります。 この加算措置分については、少なくとも現時点では時限的な措置であるとは示されておりませんので、令和2年度以降も引き続き南砺市の一本算定に加算されていくものと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 山本議員。 ◆13番(山本勝徳議員) 今後とも、南砺市のようなこんな広大な面積で、しかも人口密度が大変低いという本市の実情を踏まえた交付税の計算が行われますように、今後とも引き続いて交付税の確保に働きかけていただくようお願いをしたいというふうに思います。 次に、平成の合併により、市町村の面積が大きく拡大するなど、市町村の姿が大きく変化したことを踏まえ、合併市町村の安定した行財政運営を可能にするとともに、地域の実状を踏まえ、住民自治を充実するためにも、支所機能を適切に活用する等の取組を継続的に進めることができるようにすることが必要との観点から、旧町村役場を支所とみなし支所、本市では行政センターに当たるわけでありますけれども、支所に要する経費、すなわち職員人件費、維持管理費、地域振興費が加算されておるのであります。 南砺市では、7行政センター分として毎年約14億円余にも上る大きな金額、ちなみに新年度予算の市の税収は66億6,000万円ということになっております。ということで、基準財政需要額に加算をされておるのであります。 今3月定例会に南砺市市民センター設置条例の制定が提出されておりますが、令和2年7月1日からの、これは統合庁舎ができるというようなことで、7月1日からは地方自治法上の「支所」ではなく、「出張所」として市民センターを設置すると、条例では定められているのであります。 これは、改めてお尋ねをいたしますが、地方自治法上の「出張所」となった場合においても、支所に要する経費として、毎年本庁を除く7市民センター分約14億円余が加算されていくことになると考えて間違いがないのかをお伺いしたいと思います。 ○議長(向川静孝議員) 上口市長政策部長。 ◎市長政策部長(上口長博) 結論から先に申し上げますと、庁舎統合後も引き続き当該加算はあります。 本加算につきましては、普通交付税算定年度の4月1日現在における本庁舎所在地と合併町村の旧庁舎所在地までの距離により算定するものでありますが、この算定において、合併町村の旧庁舎の形態の変更や現存の有無については問わないこととされております。 よって、庁舎統合により、令和2年7月1日以降に「支所」が「出張所」となった場合であっても、当該加算は継続されることになります。 ○議長(向川静孝議員) 山本議員。 ◆13番(山本勝徳議員) 実態が支所ではなくて、窓口事務を行う出張所として存続していくということになるわけでありますけれども、その客観的な事実から、いずれ支所に要する経費の加算がなくなる、外されるおそれがあるのではないかというふうに私は今でも思っておりまして、これが継続していきますように、やっぱりしっかり継続して働きかけていくということが大事だと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。 次に、今年度が発行最終年度であります有利な合併特例債を活用して、これまで介護老人福祉施設の改築や、保育園の統合をはじめ様々な投資的事業が実施され、新市南砺市の発展に大きな役割を果たしてまいりました。 合併特例債の発行が15年間で年平均21億円という大きな金額でありますことから、合併特例債に代わる投資的事業における特定財源の確保が大きな課題であります。令和元年度の3月補正後の合併特例債発行額は、10億2,500万円ほどになっております。 国勢調査後の平成28年4月からは、県内では新たに本市を含む3自治体が過疎地域に指定をされ、1自治体が一部過疎地域となっております。このことにより、南砺市全域が過疎地域として、過疎対策事業債の対象地域として認められているのであります。 さらに、過疎対策事業債は、本市では結婚活動支援事業、あるいは南砺金沢線バス運行事業など、いろいろな特色あるソフト事業に活用されており、起債対象範囲が合併特例債以上に広く、それこそ観光・レクリエーション施設から厚生関係施設、いろんなものがあるわけであります。 充当率は100%ということでありまして、合併特例債は95%でありました。元利償還金の7割が交付税措置をされ、そして元利償還につきましては3年据置きとなっておるわけであります。有利な起債であると、こういうことであります。 そしてまた、ハード事業として新規に光ファイバー整備特別分が認められております。ローカル5G事業の推進にも期待されるのではないかと思っておるわけであります。そしてまた、雇用創出特別分が認められておるわけであります。 こうしたことから、合併特例債に代わる役割を果たすのは、過疎対策事業債であると思います。 まだほかに有利な起債は、辺地対策事業債、これは8割が交付税措置されるということでありますし、そのほか緊急防災・減災事業債があるわけであります。 地方債計画には過疎対策事業債、今年度4,700億円、そしてまた辺地対策事業債510億円、合わせまして5,210億円が見込まれております。大いに上手に活用して、魅力ある南砺市をつくっていかなければならないものと思っております。 しかしながら、現行の過疎地域自立促進特別措置法は、来年3月までの時限立法でありますので、令和2年度の前半を目途に、有識者会議から新たな過疎対策法の提言が行われると聞いております。 新しい過疎法の制定に向けた積極的な取組を行うとともに、投資的経費の主要特定財源になります過疎対策事業債の確保について積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、所見をお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 市において、合併後の15年間、有効に活用してきました合併特例債が、いよいよ令和元年度をもって発行期限を迎えます。 この合併特例債は、先ほどお話しありましたように、年間21億円もの財源として、主に合併後の南砺市のまちづくりを推進するための地域振興基金として、また、小・中学校や福祉施設の大規模改修事業、統合保育園整備事業、市道・都市計画街路等のライフライン整備事業など、大型建設事業等の財源として有効に活用してまいりました。まさに合併の大きな成果として、この合併特例債を使った事業があるわけであります。 令和2年度からは、この合併特例債の発行ができなくなることから、これまで以上に過疎対策事業債を中心とした有利な地方債の活用について検討をし、充当していかなければならないと考えております。 その中でも、議員ご指摘の過疎対策事業債については、現行の過疎地域自立促進特別措置法、いわゆる過疎法が令和3年3月末をもって失効期限を迎えるということでございます。 現在、国では、本市の政策参与であります宮口とし迪早稲田大学名誉教授が座長を務められます、過疎問題懇談会などにおいて議論が進められるというふうに聞いております。 新たな過疎対策の在り方の検討がされておりますが、本市は、人口や財政力といった従来の過疎要件に加え、広大な市域を有していることから、新たな過疎対策の枠組みが決定された場合であっても、従来の過疎法同様、国からの支援を継続して受けることができるものと考えております。 なお、過疎法に代わる新たな法令の制定等に関しまして、あらゆる機会を通じて、関係機関に要望しておりますし、今後もしていかなければならないというふうに思っております。 直近では、昨年8月に実施をいたしました令和2年度国重点事業要望活動においても、県選出国会議員をはじめ関係省庁への要望活動を実施しいたました。 令和2年度より、小中一貫義務教育学校整備も本格的に工事着手となり、また、継続的な道路整備事業や各社会教育施設等の更新事業等大型建設事業、イベント等ソフト事業の実施が見込まれることから、過疎対策事業債の確保について、引き続き要望活動を積極的に行っていきますと同時に、新しい法令についても積極的に参画をしてまいりたいと、このように思います。 議員各位にも、その辺りの協力、一致して取り組んでいただきますようにお願い申し上げます。 ○議長(向川静孝議員) 山本議員。 ◆13番(山本勝徳議員) 新しい過疎法における基本理念がどうなるのかというのは関心を持っておるところでありますけれども、これまで過疎は4回ぐらいですかね、10年ごとのというか、新しいものができまして、ただ、近年は延長ということでありました。 そこで、いずれも議員立法ということで、国会では全会一致で一応成立しておるというものでございます。 そこで、この議員立法、いわゆる政治立法というような感じだと思いますけれども、こういったことを踏まえまして、全国の過疎地域自立促進連盟ですか、こういったところもですね。これまで、南砺市が富山県の代表というようなことで、活動しておいでたんだと思うんですけれども、最近、ちょっと見ましたら、何か議長も市長もこれまで理事で出ておいでたんですけれども、いずれも理事から、どこかへ譲られたのかもしれませんけれども、役員でないと、こんなようなところをちょっと心配をしておるところでございます。 引き続きまして、しっかりとまた富山県のリーダーとして頑張っていただきますようにお願い申し上げたいと思います。 それでは次に、令和2年度の地方財政対策と本市の財政運営に関してであります。 近年の地方財政は、景気の低迷による税収の落ち込み、社会保障関係費などの財政需要の増加、それから公債費の増加などの複合的な要因によりまして、巨額の財源不足が恒常的に発生しておるということであります。 この財源不足につきましては、平成27年度に地方交付税法による法定率の変更が行われたほかは、国の一般会計からの加算等の財政措置や地方債の増発、臨時財政対策債の発行などにより補填をされてきたところでございます。 これらを踏まえた地方財政計画の策定を通じて、地方財政全体として標準的な行政水準を確保するために必要な財源が保障される仕組みとなっております。 令和2年度の地方財政対策においては、国の予算案が閣議決定された昨年12月20日、全国市長会など地方6団体から共同声明が発表されました。それは、「消費税・地方消費税率引き上げに伴い令和2年度の地方税が増収、これは0.8兆円ということであります。その中で、地方交付税については前年度を上回る16兆6,000億円、4,000億円の増というのを確保するとともに、地方の一般財源総額について社会保障関係費、防災・減災対策、会計年度任用職員制度の導入に係る歳出の増ということを踏まえて、前年度を0.7兆円上回る地方一般財源総額63.4兆円を確保したことは高く評価する」というものでありました。 私どもも同様に、このことについて喜ばしく思っておるところであります。 地方が自主性・主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地域の実状に応じたきめ細やかな施策を可能にする観点から、第2期地方創生総合戦略の期間が始まる令和2年度においても、まち・ひと・しごと創生事業費については、引き続き1兆円が地方財政計画に計上され施策を展開していくほか、少子化が長期にわたり進行していく中で、地域社会の持続可能性への懸念が高まっており、地域社会の維持・再生に向けた対応を早急に進めていく必要があります。 このため、新たに地域社会再生事業費--仮称でありますけれども--4,200億円が計上されまして、全国平均を上回って人口が減少し、そしてまた少子高齢化が進行している団体や、人口密度が低く持続可能性が深刻な危機に直面している地域の人口が多い団体の経費の割増しを行い、財政状況が厳しい小規模団体にとっては重要な財源になると考えられます。 この点、国からは積極的な取組が求められているところであります。令和2年度の地方財政計画に、新たな歳出項目として創設された地域社会再生事業費(仮称)を財源として、今後どのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 地域社会再生事業費につきましては、地方創生を推進するための基盤となる地域社会の持続可能性を確保するため、令和2年度より、普通交付税算定において地域社会の維持・再生に取り組むための新たな基準財政需要額の算定項目として創設されました。 そのため、全国的に必要となる事業といたしましては、子育て環境の充実や予防・健康づくりの増進、防災ソフト対策の強化、外国人住民の生活環境整備などの事業が想定されます。 また、人口集積の度合いが低い本市のような地域においては、人口減少対策や高齢化対策などを中心に、空き家対策、地域産業振興対策、小規模多機能自治の推進などの事業が想定されます。 これらの事業は、まさに本市が合併後重点施策として継続的に取り組んできた事業でありますので、この新たな財源を令和2年度からの第2次総合計画を推進していくための、また、今後の各種主要事業を継続的に実施していくための貴重な財源として活用していきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 山本議員。 ◆13番(山本勝徳議員) この財源をしっかり活用して、積極的な取組推進をお願いを申し上げたいと思います。 次に、昨年、台風19号による河川氾濫等の大規模な浸水被害が相次いだ中、維持管理のための河川等のしゅんせつ、堆積土砂の撤去等が重要でございます。 このため、地方団体が単独事業として緊急的に河川等のしゅんせつができるように、令和2年度地方財政計画の維持補修費に、新たに緊急浚渫推進事業費(仮称)が計上され、その地方負担額全額、緊急浚渫推進事業債、これは充当率100%、元利償還金の7割交付税措置をするというものでありますして、この地方債を充てる特例措置が創設されたわけであります。 市町村が管理する準用河川や普通河川について、堆積土砂や人家への危険度に応じて対策の優先度の高い箇所が対象になると思われますが、令和2年度においては900億円が措置されました。それで、今後5年間で4,900億円が措置されると見込まれておるわけでございます。 しゅんせつにつきましては、県や市に対して、市内各地域から要望も多い事項であると思われますので、今後、この財源を使ってどのように取り組んでいく考えなのか、所見をお伺いいたします。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 現在、南砺市におきましては毎年、準用河川の維持補修費を予算化しております。地域からの要望に応じまして、護岸の補修及びしゅんせつに取り組んでおります。 今回、国において、議員ご指摘の緊急浚渫推進事業債が、令和2年度から6年度までの5か年の特例措置として創設されました。対象事業費に対しまして充当率100、後年度元利償還金に対する交付税措置率70%と、大変有利な財源であることから、今後の積極的な活用により市内河川の計画的なしゅんせつを検討してまいりたいと考えております。 現時点で、市内各地域からのしゅんせつ要望については、県管理の一級河川が中心でございまして、今後は県とも連絡を密にし、市の準用河川や普通河川の状況把握を徹底し、緊急性を考慮の上、取り組んでまいりたいと考えております。 なお、活用に際しましては、個別計画、河川維持管理計画等を策定し、緊急的に実施する必要がある箇所として位置づけた河川等が対象となることから、個別計画策定の下、計画的な取組として実施していきたいと考えております。 ○議長(向川静孝議員) 山本議員。 ◆13番(山本勝徳議員) 重要な課題でありますので、個別計画の策定をしっかりやっていただいて、これにつきましても積極的な取組をお願いしたいと思います。 最後に、本市の財政状況について言及をし、質問を終えたいというふうに思います。 本市の令和元年度末における市債の一般会計残高見込みは448億1,301万円でありますが、後年度元利償還金が普通交付税に算入される割合は、先般、財政当局の話では約77%と見込ん でおるということでありました。 このことから、実質的な市の負担は23%の約103億円ほどになるのであります。これは、他の市町村にはない南砺市の強みと言ってもいいと思いますが、大きな特長であると思っております。 このようなことから、平成30年度の実質公債費比率は3.7%と、県内市町村ではもう最も低いものとなっておるわけであります。そしてまた、将来負担比率は、将来負担額よりも充当可能財源等が多いためゼロといいますか、なしというようなことになっておるわけであります。 そして、財政硬直化の指標であります経常収支比率は、類似団体よりも優良だと思いますが、30年度で86.7%であります。 こうしたような交付税への異存率、交付税の割合が40%というようなことで、非常に交付税に依存する割合が高いという特徴を持っておるわけでありますけれども、このような点に関する評価、そしてまた今後の見通しといいますか、そういった点についてお伺いをしたいと思います。 ○議長(向川静孝議員) 田中市長。   〔田中幹夫市長登壇〕 ◎市長(田中幹夫) 本市の財政状況に対する評価でございますが、市債の残高に対する交付税措置率に関しましては、合併特例債や過疎対策事業債、辺地対策事業債などの有利な地方債を活用しており、単年度における財源確保、後年度における財政負担の軽減に大きく寄与しているものと考えております。 また、標準財政規模に占める実質的な借金返済に係る支出の割合を示す実質公債費比率に関しましては、これまで継続して高利率の地方債の繰上償還を実施した結果、県内でも最も低い数値となっており、健全な状況であると考えております。 地方債など現在抱えている負債の大きさを市の財政規模に対する割合で示した将来負担比率も、本市は、借金の返済に充てることができる基金や、交付税措置率の高い地方債を活用していることから、将来負担額がゼロとなっており、健全な状況であると言えます。 一方、人件費や公債費が経常的な収入に対して占める割合を示す経常収支比率について、県内平均よりは低いものの、財政の硬直化が見られることから、今後は定員適正化計画に基づき、さらなる人件費の抑制に努めるとともに、安易な地方債の活用を行わないよう、自主財源のさらなる確保と国や県の補助金等を積極的に活用しながら、数値の改善に努めていかなければならないと考えております。 以上のことから、現時点での本市の財政状況につきましては、他市と比べおおむね健全な状況ではあるものの、引き続き各指標を意識しながら財政運営に取り組んでいきたいと考えております。 また、今後の財政の見通しにつきましては、普通交付税の段階的な縮減期間の終了や合併特例債の発行期限の終了、令和2年度実施の国勢調査による人口減の予測に伴う税収入の減や普通交付税の縮減など、これまで以上に財源の確保が厳しくなることが予想されます。 このことから、現状に甘えることなく、財政調整基金や減債基金残高を注視し、地方債や国・県等の各種補助金などの活用を考慮しながら、第2次南砺市総合計画に基づいた持続可能な市政運営を行っていきたいと考えております。
    ○議長(向川静孝議員) 山本議員。 ◆13番(山本勝徳議員) 今後とも、財源の確保ということに十分配慮いただきたいなというふうに思います。 実は、1つ質問項目をしたいなと思っていたんですけれども、電源立地の対策交付金が、南砺市の場合は水力交付金というようなことでありまして、年々減ってきておるということでありますが、40年を迎えると資格がなくなってしまうと、こんなようなことで、これが令和2年度限りかな、というようなことでありますので、電源立地の対策交付金の延長と申しますか、恒久化と申しますか、こういったことに、これ逃さんように、しっかりと意見書の採択みたいなものも必要なんだと思ってはおるんですけれども。 ぜひとも、また電源立地の--そうしないと、3年度で9か所、私が聞いておるんでは、南砺市内の発電施設の9か所が電源立地の交付金の対象から外れてしまうと、こういうことになりますので、この点しっかりと留意をしていただいて、制度改正等に働きかけをお願いしたいというふうに思います。 以上です。----------------------------------- △散会の宣告 ○議長(向川静孝議員) 以上で本日の日程は終了いたしました。 次回は3月6日午前9時30分に本会議を再開し、市政一般に対する質問並びに提出議案に対する質疑を引き続き行います。 本日はこれをもって散会いたします。 ご苦労さまでした。 △散会 午後3時30分...